最新記事

認知症

1日1杯弱のオレンジジュースがあなたを認知症から救うのかも

2018年12月20日(木)20時00分
松丸さとみ

野菜やオレンジジュースは効果あり。ただし果糖に注意 anandaBGD-iStock

2万8000人弱を対象に20年近くにわたり調査

ランチなどでドリンクがセットで付いている時、あなたは何を選ぶだろうか? コーヒー? 紅茶? 今後は、もしあれば100%のオレンジジュースを選ぼう。

男性の場合、「軽くコップ1杯のオレンジジュースを毎日飲み続ければ、認知症のリスクが50%下がる」という研究結果がこのほど発表されたのだ。

米ハーバード大学のチャンジョン・ユアン氏率いるチームがこの研究を行い、米国神経学アカデミー学会の会誌「ニューロロジー」に結果を発表。英デイリーメール紙や南アフリカのhealth24.comなどが報じた。

対象となったのは米国の男性2万7842人で、調査を開始した1986年の時点での平均年齢は51歳だった。野菜と果物、果物でできた100%ジュースの摂取がどれほど後年の脳の主観的な認知機能に影響するかを調べるため、20年近くにわたり調査を行った。

アンケート&テストを実施

「ニューロロジー」によると、参加者は2002年まで4年おきに、食事内容に関するアンケートに答えた。その後、2008年と2012年に主観的な認知機能を見るためのテストを行った。内容は、思考能力テストと記憶能力テストだ。結果は、野菜、果物、100%ジュースを多く摂った人ほど、認知機能が衰えにくいことがわかったという。

参加者のうち、野菜を最も多く摂ったグループは、1日のうちに6皿分の野菜(この場合の1皿は生野菜1カップまたは葉野菜2カップ)を食べた。最も少なかったグループは1日に2皿分の野菜しか摂らなかった。

一方で果物を最も多く食べたグループは1日に3皿分(この場合、1皿は果物1カップまたはフルーツジュース半カップ分)、最も少なかったグループは1/2皿分だった。

これが年齢を経た時に脳の健康にどれほど影響しているかを調べるために、平均年齢が73歳に達した時に、前述のテストをそれぞれ行った。

野菜やオレンジジュースは効果あり。ただし果糖に注意

テストの結果、認知機能が衰えておりテストの結果が悪かった、という人の割合は、野菜を最も多く食べたグループでは6.6%だった一方で、野菜の摂取量が最も少なかったグループでは7.9%だった。また、野菜を最も多く食べたグループは、最も少なかったグループと比べ思考能力が衰えるリスクが34%低かった。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

米、農場やホテルでの不法移民摘発一時停止 働き手不

ワールド

米連邦最高裁、中立でないとの回答58%=ロイター/

ワールド

イスラエル・イラン攻撃応酬で原油高騰、身構える投資

ワールド

核保有国の軍拡で世界は新たな脅威の時代に、国際平和
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 10
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中