黒づくめにレプリカ小銃の幼児が軍事パレード? インドネシア、独立記念日の行進が議論に
衣裳さえ違っていれば微笑ましい光景になっていたのに── (c) CNN Indonesia / YouTube
<目元以外を黒い衣装に包んで小銃を手に練り歩く子供たち──。イスラム過激派に洗脳されたのかと目を疑う光景が白昼堂々と出現した>
インドネシア東ジャワ州のプロボリンゴ市で独立記念日(8月17日)を祝う記念カーニバルが8月18日に行われたが、その行進に参加した地元の幼稚園児が黒装束にレプリカ(模型)の小銃を抱えて歩いている様子がインターネットの動画サイトにアップされ、大きな問題に発展する事態になっている。
プロボリンゴ市の市庁舎周辺で始まった行進には市内の幼稚園児数十人が参加したが、目以外を覆う黒い「チャダル」と黒い衣装で全身を隠し、胸の前には模型の小銃を斜めに抱いて参加、市中を行進した。
道路の片側車線をふさぐ形の行進では中央に幼稚園児が並び、左右両側には母親や関係者とみられる大人が一緒に歩いている様子が動画からは確認できる。
園児の中には武器を持たず玩具の白馬にまたがった園児もおり、周囲を同行する母親らは笑顔で見守っている。
この動画を見たインドネシア人の間からは「黒装束に武器携行はイスラム過激派を連想する」「これはまさに中東のテロ組織IS(イスラム国)と同じではないか」などと急進派や過激派、テロ組織と関連付ける批判が相次いだ。
「幼稚園児にそこまでする必要があるのか」「誤った印象を与えかねない」とエスカレートする非難の嵐に地元警察がまず動き、カーニバル主催者と幼稚園の園長から事情を聴取した。
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事態重視の政府は教育文化相を現地派遣
事態を重くみたジョコ・ウィドド政権は8月19日にムハジル・エフェンディ教育文化相をプロボリンゴに急派して市警本部長と会談するなど事態の把握に当たらせた。
警察の事情聴取に対して問題となった幼稚園のスハルタティック園長は「行進はイスラム教の預言者をテーマにしたものである。園児の衣装は予算がなかったので幼稚園にあった黒装束を着せたまでであり、過激思想を教えるとか伝えるとかそういう意図は全くなかった」と弁明した。
プロボリンゴ市警察本部によると通常道路を利用する行進には警察の許可が必要だが、今回の幼稚園児の行進は未許可だったという。
ニュースで騒ぎが大きくなり、同市に詰めかけた報道陣に対して警察、園長とともに記者会見したカーニバルの関係者は「騒がせる結果になって本当に申し訳ない」と謝罪の言葉を口にした。
現地入りしたムハジル教育文化相は地元メディアに対して「幼稚園は園児に過激思想を植え付ける意図は全くないということであり、深刻な影響はないだろうと思う」としながらも、「全ての教育機関は急進的思想、過激思想の危険な芽も摘まなくてはならない。そういった思想は外部からというより、内部から起きてくることがあるからだ」と教育現場で教育者による過激思想などへの的確な指導の必要性を強調した。