最新記事

海外ノンフィクションの世界

日本人が世界に伝える、長寿の秘訣としての「生きがい十戒」

2017年7月27日(木)19時11分
齋藤慎子 ※編集・企画:トランネット

「長寿の里」大宜味村で100人を超える高齢者を対象に行われたインタビューで得られた、シンプルで味わいのある言葉に触れられるのが特にいい。当たり前のことを当たり前にたゆまず続けること、感謝と笑顔で人生を楽しむことの大切さを再認識させられる。

回答の一部はそのまま紹介されているほか、「『生きがい』十戒」として本書のおわりにまとめられている。ここで簡潔に紹介しておこう。

●「生きがい」十戒

1.すっかり隠退してしまわず、常に活動的でいる。
2.穏やかに生活する。
3.満腹になるまで食べない。
4.よき友人に囲まれる。
5.次の誕生日までに体調を整える。
6.微笑む。
7.自然に還る。
8.感謝する。
9.「いまこのとき」を生きる。
10.自分の「生きがい」に従う。

【参考記事】チャリ通は長寿の秘訣。がんや心臓疾患のリスクが4割減

印象的なセンテンスを対訳で読む

以下は、『外国人が見つけた長寿ニッポン幸せの秘密』の原書と邦訳からそれぞれ抜粋した。

●Los japoneses son buenos uniendo naturaleza con tecnología; no es el hombre contra la naturaleza, sino la unión de ambos.
(日本人が自然とテクノロジーを一体化させるのが得意なのは、人と自然が対峙するのではなく、結びついているからだ)

――日本の職人技を説明している箇所。仕事に没頭してフロー状態に入り、作業対象と一体化することに特別な側面があるのは、神道では森にも木にもモノにも「カミ」(霊、神)が宿っているから、と論じている。「対象に命を吹き込む」べく、自然を常に敬いながらも上手に活用することが、ものを作り出す人間の責任だという。

●La comida no alarga la vida, el secreto es sonreír y pasarlo bien.
(食事で寿命が延びるわけじゃないのよ。長生きの秘訣は、笑顔で人生を楽しむこと)

――大宜味村で著者ふたりを食事に連れて行ったユキコさん(88歳)のことば。このようなことばがほかにもいろいろ紹介されている。

●La vida es pura imperfección, como reza el wabi-sabi, y el paso del tiempo nos demuestra que todo es efímero, pero si tienes un ikigai definido, cada momento albergará tantas posibilidades que es como una eternidad.
(「侘・寂」のことばどおり、人生は不完全そのものであり、時の流れは諸行無常を示している。それでも、はっきりした「生きがい」があれば、どの瞬間にも多くの可能性があり、永遠とも言える)

――すべての逆境には成長の可能性が潜んでいる。打撃を受けるたびに強くなる方法を見出せるはず。要するに、打撃を不運ととらえるか、「いい経験」ととらえるかの違いだという。

◇ ◇ ◇

逆境も成長の機会ととらえ、前を向いて生きていくための、あなたの「生きがい」は何だろうか。


『外国人が見つけた長寿ニッポン幸せの秘密』
 エクトル・ガルシア、フランセスク・ミラージェス 著
 齋藤慎子 訳
 エクスナレッジ

トランネット
出版翻訳専門の翻訳会社。2000年設立。年間150~200タイトルの書籍を翻訳する。多くの国内出版社の協力のもと、翻訳者に広く出版翻訳のチャンスを提供するための出版翻訳オーディションを開催。出版社・編集者には、海外出版社・エージェントとのネットワークを活かした翻訳出版企画、および実力ある翻訳者を紹介する。近年は日本の書籍を海外で出版するためのサポートサービスにも力を入れている。
http://www.trannet.co.jp/

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガリニューアル!
 ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米イラン停戦で日経5万6000円回復、原油急落しリ

ワールド

ガザ復興支援でトランプ氏の平和評議会と協力=世銀総

ワールド

米ジョージア州下院補選、トランプ氏支持の共和党フラ

ワールド

NZ中銀、政策金利2.25%に据え置き イラン情勢
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライナ軍司令官 ロシア軍「⁠春の​攻勢」は継続
  • 3
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命防衛隊と消耗戦に
  • 4
    米軍が兵器を太平洋から中東に大移動、対中抑止に空白
  • 5
    「王はいらない」800万人デモ トランプ政権への怒り…
  • 6
    「高市しぐさ」の問題は「媚び」だけか?...異形の「…
  • 7
    【後編】BTS再始動、3年9カ月の沈黙を経て──変わる音…
  • 8
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 9
    5日間の寝たきりで髪が...ICUに入院した女性を襲っ…
  • 10
    人口減の自治体を救う「小さな浄水場」──誰もが常に…
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始めた限界
  • 3
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐせ・ワースト1
  • 4
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 5
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 6
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 7
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 8
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙…
  • 9
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 10
    米軍が兵器を太平洋から中東に大移動、対中抑止に空白
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 4
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 6
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 7
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中