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大腸菌ロシア、欧州の「殺人野菜」を全面禁輸
ヨーロッパで新型の大腸菌への感染被害が拡大するなか、ロシアがEU産の生鮮野菜の全面禁輸措置に踏み切ったが
廃棄処分 ドイツの保健当局は消費者にキュウリやレタス、トマトを食べないよう警告した(ハンブルク近郊のレタス畑) Fabian Bimmer-Reuters
ドイツで発生した新型の腸管出血性大腸菌「O(オー)104」の感染被害が拡大するなか、ロシアはEUからの生鮮野菜の輸入を禁止する措置に出た。
ロシア保健当局は2日、既に輸入されたEU産の野菜も全土で回収すると発表。この措置に対し、EU側は「過剰反応」だと反発している。
感染者数は3日までに欧州8カ国で1500人以上に達し、ドイツを中心に18人の死者が出ている。大腸菌の毒素が引き起こす溶血性尿毒症症候群(HUS)は血便や腎臓機能障害を招き、最終的に昏睡状態や死に到るケースもある。
感染被害が最も深刻な地域は、ドイツ北部ハンブルク周辺だ。1日時点で報告されていた365件の感染例の大半がハンブルクに集中していた。EU当局によると、アメリカでも3人の感染例が報告されたが、いずれも最近ハンブルクを訪れた人たちだった。
感染の食い止めに数カ月かかる?
感染源は当初、スペイン産のキュウリとみられていたが、後になってこれは間違いだったことをドイツ当局が発表し、スペイン政府に陳謝した。本当の感染源が解明できていないため、感染拡大を食い止めるのに数カ月かかる恐れもあると、ドイツは認めている。
一方、世界保健機構(WHO)は2日、感染拡大している大腸菌は「感染性も毒性も強いことを示すさまざまな特徴がみられる」と発表した。食品の安全に関するWHOの専門家ヒルデ・クルーゼは、「これまで感染例が確認されたことのないタイプだ」と、AP通信に語っている。
ロシアは既にドイツとスペインからの生鮮野菜の輸入を禁止していたが、WHOの発表と時を同じくして、その対象をEU全域に拡大。ロシアの消費者保護機関のゲンナジー・オニシチェンコは「輸入野菜を食べるのはやめて、国産を選ぶよう呼び掛けている」と語っている。
EU側は、ロシアの措置に抗議する構えだ。EUからロシアへの生鮮果実や野菜の輸出総額は、年間30〜40億ユーロと推計される。主な産出国はスペイン、フランス、ドイツ、ポーランドだ。
一方、スペインは今回のキュウリ騒動による風評被害をめぐって法的措置に訴えると息巻いている。この1週間で国内の農家に生じた2億ユーロ近い損失の補償を求める考えだ。