最新記事

大腸菌

ロシア、欧州の「殺人野菜」を全面禁輸

ヨーロッパで新型の大腸菌への感染被害が拡大するなか、ロシアがEU産の生鮮野菜の全面禁輸措置に踏み切ったが

2011年6月3日(金)17時29分

廃棄処分 ドイツの保健当局は消費者にキュウリやレタス、トマトを食べないよう警告した(ハンブルク近郊のレタス畑) Fabian Bimmer-Reuters

 ドイツで発生した新型の腸管出血性大腸菌「O(オー)104」の感染被害が拡大するなか、ロシアはEUからの生鮮野菜の輸入を禁止する措置に出た。

 ロシア保健当局は2日、既に輸入されたEU産の野菜も全土で回収すると発表。この措置に対し、EU側は「過剰反応」だと反発している。

 感染者数は3日までに欧州8カ国で1500人以上に達し、ドイツを中心に18人の死者が出ている。大腸菌の毒素が引き起こす溶血性尿毒症症候群(HUS)は血便や腎臓機能障害を招き、最終的に昏睡状態や死に到るケースもある。

 感染被害が最も深刻な地域は、ドイツ北部ハンブルク周辺だ。1日時点で報告されていた365件の感染例の大半がハンブルクに集中していた。EU当局によると、アメリカでも3人の感染例が報告されたが、いずれも最近ハンブルクを訪れた人たちだった。

感染の食い止めに数カ月かかる?

 感染源は当初、スペイン産のキュウリとみられていたが、後になってこれは間違いだったことをドイツ当局が発表し、スペイン政府に陳謝した。本当の感染源が解明できていないため、感染拡大を食い止めるのに数カ月かかる恐れもあると、ドイツは認めている。

 一方、世界保健機構(WHO)は2日、感染拡大している大腸菌は「感染性も毒性も強いことを示すさまざまな特徴がみられる」と発表した。食品の安全に関するWHOの専門家ヒルデ・クルーゼは、「これまで感染例が確認されたことのないタイプだ」と、AP通信に語っている。

 ロシアは既にドイツとスペインからの生鮮野菜の輸入を禁止していたが、WHOの発表と時を同じくして、その対象をEU全域に拡大。ロシアの消費者保護機関のゲンナジー・オニシチェンコは「輸入野菜を食べるのはやめて、国産を選ぶよう呼び掛けている」と語っている。

 EU側は、ロシアの措置に抗議する構えだ。EUからロシアへの生鮮果実や野菜の輸出総額は、年間30〜40億ユーロと推計される。主な産出国はスペイン、フランス、ドイツ、ポーランドだ。

 一方、スペインは今回のキュウリ騒動による風評被害をめぐって法的措置に訴えると息巻いている。この1週間で国内の農家に生じた2億ユーロ近い損失の補償を求める考えだ。

GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナ大統領「独立守った」、ロ侵攻から4年 G

ワールド

米、重要鉱物価格設定にAI活用検討 国防総省開発

ビジネス

AIが雇用市場を完全に覆すことはない=ウォラーFR

ワールド

ウクライナ、ロシアの「核取得」非難を否定 英仏関与
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
2026年3月 3日号(2/25発売)

フィンテックの進化と普及で、金融はもっと高速に、もっとカジュアルに

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 2
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 3
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 4
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
  • 5
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 6
    3頭のクマがスキー客を猛追...ゲレンデで撮影された…
  • 7
    「極めて危険」──ゼレンスキー、ロシアにおける北朝…
  • 8
    IMF、日本政府に消費減税を避けるよう要請...「財政…
  • 9
    武士はロマンで戦ったわけではない...命を懸けた「損…
  • 10
    「IKEAも動いた...」ネグレクトされた子猿パンチと「…
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 3
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 4
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
  • 5
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 6
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 7
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 8
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 9
    ロシアに蔓延する「戦争疲れ」がプーチンの立場を揺…
  • 10
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 5
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 6
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中