最新記事

イギリス

MI6スパイ変死事件の解けない謎

2010年9月9日(木)17時41分
マーク・ホーゼンボール(ワシントン支局)

 GCHQの仕事でウィリアムズは何度もアメリカのCIA(中央情報部)や国家安全保障局(NSA)の本部を訪れており、これらの機関がその死に深い関心を寄せていると指摘する声もある。だがアメリカの当局者は、CIAが事件を捜査しているという英メディアの報道を否定。また、FBI(米連邦捜査局)や米司法省が何らかの形で捜査に関与する可能性も少ないと思われる。

 ロンドン警視庁は声明で、死の前にウィリアムズが休暇で訪米したことは認めているが、公用であれ私用であれ彼がアメリカの情報機関の本部を訪れたことがあるかという点には触れていない。

 さらに、もし彼の死と英米の情報機関の機密漏洩との間に何らかの関連があればきちんと報告を受けているはずの複数の米政府高官も、この事件について何の情報も上がってきていないと証言する。

 また両国の政府関係者は、いかに事件がミステリアスな様相を帯びているとはいえ、今の時点ではウィリアムズがGCHQやMI6以外のスパイ組織に関わっていたという証拠はなく、つまり彼が二重スパイだったことを示唆する証拠もないと強調している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国EVメーカーNIO、初の量販モデルを月内に発表

ビジネス

午前の日経平均は反発、連休中の米株高で 大型ハイテ

ビジネス

米ボーイング新型宇宙船「スターライナー」打ち上げ延

ワールド

中国気候変動特使、8─9日にワシントン訪問=米国務
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    翼が生えた「天使」のような形に、トゲだらけの体表...奇妙な姿の超希少カスザメを発見、100年ぶり研究再開

  • 2

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが...... 今も厳しい差別、雇用許可制20年目の韓国

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    「真の脅威」は中国の大きすぎる「その野心」

  • 5

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 6

    メーガン妃を熱心に売り込むヘンリー王子の「マネー…

  • 7

    ウクライナがモスクワの空港で「放火」工作を実行す…

  • 8

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 9

    単独取材:岸田首相、本誌に語ったGDP「4位転落」日…

  • 10

    こ、この顔は...コートニー・カーダシアンの息子、元…

  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 5

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 6

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 7

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 10

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中