最新記事

高等教育

「増えすぎ」アジア人を排除するハーバード

アジア人学生を排除する米一流大学にアジア系団体が怒りの申し立て

2015年6月15日(月)17時52分
ウェブ編集部

閉ざされた門 成績優秀でも人種によって入学者数には制限が Brian Snyder-REUTERS

*この記事は当初掲載から内容を差し替えています。

 ハーバード大学などアメリカの一流大学は、アジア人学生に対して他の人種の学生より厳しい合格基準を設けて、優秀なアジア人学生を排除している――。今年5月、64のアジア系アメリカ人団体で作るグループが、米政府に対して実態調査を求める申し立てを行った。

 申し立てによると、アジア系アメリカ人がハーバード大学に合格するには、SAT(大学進学適性試験)で白人学生より140ポイント、ヒスパニック系より270ポイント、アフリカ系より450ポイント高い得点を取らなければならないという。

 政府の資金援助を受けている教育機関は、64年に成立した公民権法によって人種にかかわらずすべての学生を公平に扱わなければならないと定められている。アジア人学生が増えすぎることを危惧する大学側が、入学選考でアジア人学生を排除しているとしたら、公民権法に違反していると言えるだろう。

 ハーバード大学の法律顧問を務めるロバート・イウリアノは、ウォール・ストリート・ジャーナルの取材に対して、「学生の多様性を確保するためにハーバード大学はアジア人学生を積極的に採用している」と答えている。過去10年でアジア人の新入生が占める割合は、18%から21%に上がったという。

 しかしアメリカの一流大学を志望するアジア人学生が増加している現状下では、もっと多くのアジア人が入学を認められるのが当然だと、グループは主張している。実際に、西海岸のカリフォルニア工科大学(カルテック)ではアジア系学生の比率が93年の26%から現在は42.5%に増加している。

 これについて高等教育に関する研究機関「ポープ・センター」のジョージ・リーフ所長は、「アジア人学生を排除する大学側に対して、アジア系アメリカ人が異議を申し立てたことは喜ばしい」というコメントを出している。「しかしこうした動きは、アジア系以外の人々の賛同があって然るべきだ。大学とは学びの場所であり、大学側が社会実験を仕掛ける場所ではない」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国、高市首相の台湾発言撤回要求 国連総長に書簡

ワールド

MAGA派グリーン議員、来年1月の辞職表明 トラン

ワールド

アングル:動き出したECB次期執行部人事、多様性欠

ビジネス

米国株式市場=ダウ493ドル高、12月利下げ観測で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 2
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネディの孫」の出馬にSNS熱狂、「顔以外も完璧」との声
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 4
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 5
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 6
    「裸同然」と批判も...レギンス注意でジム退館処分、…
  • 7
    Spotifyからも削除...「今年の一曲」と大絶賛の楽曲…
  • 8
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 6
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 7
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中