フィールドワークもzoomで済む時代に...国立民族学博物館教授が文化人類学で伝えようとすること【民博特集4/4】
「いまの研究環境では、まず目的を明確にし、かなり限られた時間内で、その目的を果たすことが求められます。電話したり、ZOOMを開いたりなどで効率化を図ることができる反面、目的以外のアソビの部分で発生する何かにいちいちかかずらってはいられないかも。フィールドワークにしても、今は現地の人に電話やメールで確認することだって可能になっています。
昔の経験を話せば、とにかく現地の人たちにコバンザメのようにくっ付いて、ちょっかい出さない程度に(?)話しかけてみたり、真似してみたり、じっくりゴソゴソやっていたのでした。ところで、なんでそんなにフィールドワークには時間がかかるのか。もちろん言葉の習得の問題もありますが、調査とか以前に、人との信頼関係を築き、ある社会のなかで一定のところにおさまるのって時間かかるんです」
フィールドワークの目的は単に情報やデータを集めることではない。現地の人たちと関係を築きながら彼らの文化や暮らしを深く理解する。この「深く理解する」の部分は、たしかに効率化とは相性が悪い。
民博は「昔の世界」を見せる場所になってしまうのか
文化人類学・民族学の変化は、その研究成果を展示している民博の存在価値も変えてしまうのではないかと樫永先生は考えている。





