最新記事
運動

「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚人コーチ」が説く、正しい筋肉の鍛え方とは?【スクワット編】

2025年7月5日(土)08時55分
ポール・ウェイド(元囚人・キャリステニクス研究家)

テレビでこの競技を見る機会があったら、なにが起こるか確認してほしい。まず、軽く膝を曲げ、脚の力を使ってバーを持ち上げる。次に脚を曲げて体を下へ落とし、フルスクワットの姿勢になりながら肩の上にウエイトを持ち上げる。

そこから脚の力を使いながら立ち上がり、動作を完成させる。クリーン&ジャークにおける上半身と腕は二次的な存在だ。

オリンピックのリフターは、他のどのエクササイズよりも多くの時間をスクワットに費やす。そのため、大きくてがっしりとした大腿部を持っている。彼らは脚力の価値を理解しているのだ。


 

もっとも重量があるものを持ち上げるエクササイズは、たぶん、床面から股関節までバーベルを持ち上げるデッドリフトだ。有名なパワーリフターであるアンディ・ボルトンが世界記録を保持している。持ち上げたのはおよそ455キログラムで1トンのほとんど半分だ! これは公式記録だ。

このエクササイズは体にあるほとんどすべての筋肉を機能させるが、実際のデッドリフトは、太ももと股関節で行う。特に股関節を横切る臀筋、体の後ろで股関節と膝をつないでいるハムストリングス、体の前で腰と膝をつないでいる大腿四頭筋がかかわっている。

ベンチプレスのような上半身エクササイズでも、力を生み出すのに脚が大きな役割を果たしている。パラリンピックに出てくる車椅子のパワーリフターも大きな上半身を持っている。

しかし、脚の力を上半身に伝えることができないので、プレスする重量はオリンピックのリフターより、はるかに軽いものになる。これらの例を考えれば、真のパワーは下半身によって生み出されることがわかる。

他のほとんどのスポーツでも、脚ではなく上半身の筋肉が重要視されている。残念なことに、下半身の筋力と下半身がつくる体の安定性の大切さに気づくのは、その脚をケガした時だ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

仏首相、年金改革を27年まで停止 不信任案回避へ左

ビジネス

米ウェルズ・ファーゴ、中期目標引き上げ 7─9月期

ビジネス

FRB、年内あと2回の利下げの見通し=ボウマン副議

ビジネス

JPモルガン、四半期利益が予想上回る 金利収入見通
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道されない、被害の状況と実態
  • 2
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 3
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 4
    【クイズ】アメリカで最も「死亡者」が多く、「給与…
  • 5
    「中国に待ち伏せされた!」レアアース規制にトラン…
  • 6
    イーロン・マスク、新構想「Macrohard」でマイクロソ…
  • 7
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 8
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 9
    あなたの言葉遣い、「AI語」になっていませんか?...…
  • 10
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 4
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 7
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 8
    ウクライナの英雄、ロシアの難敵──アゾフ旅団はなぜ…
  • 9
    「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収され…
  • 10
    あなたは何型に当てはまる?「5つの睡眠タイプ」で記…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中