コレステロールが老化を遅らせていた...スーパーエイジャーの「長寿体質の秘密」とは?

2025年3月21日(金)08時50分
ニール・バルジライ (アルバート・アインシュタイン医科大学教授)

コレステロールは血液中にある脂肪のひとつで、体のあらゆる細胞を形成している。これがなければ成長できないし、たぶん死んでしまうが、まだ多くの人が、コレステロールは有害な物質で、肉、卵、魚、乳製品などを食べることでのみ体内に入ると思っている。

これらの食品にコレステロールが含まれているのはたしかだが、自分の血中コレステロール値にいちばん大きく影響するのは、自分の体重だと知ったら、みな驚くかもしれない。


 

また、コレステロールの代謝を調整し、体中に送っているのは肝臓だということも、あまり知られていないだろう。さらにコレステロールは、肝臓から分泌される胆汁によって体から排出されている。

この調整は何千という生物学的機能にとって重要で、とくに細胞の膜層や、ビタミンDのようなホルモンの生成に欠かせない。このようにコレステロールは不可欠な有機分子なのに、なぜか悪評をこうむってきた。

年1回の健康診断の検査のひとつである脂質パネルは、体内のコレステロールの大半を占めるHDLコレステロール(善玉コレステロール)とLDLコレステロール(悪玉コレステロール)の値を示すものだ。また、総コレステロールの20%を占める中性脂肪(TG)の数値も表される。

診療の場では、主治医はLDL(悪玉)とHDL(善玉)の各数値より比率のほうを気にするだろう。もし比率が3:1より小さければ、LDL(悪玉)値が増えていても心配しないかもしれない。

これらの数値が検査結果でふつうに表示されるようになるまえは、総コレステロール値が誤解され、脂肪が最大の敵とされていた。心臓血管疾患のリスクを上げる高コレステロールにつながると考えられていたからだ。

しかし、脂肪は脳やその他の臓器を機能させるのに必要であり、総コレステロール値には各コレステロールの値ほど病気との関連性はない。

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