そこからじっくりと段階を上げていけば、ステップ5に差しかかった頃には、下記のような境地に至れるらしい。


モチベーションが沸騰している。そして、水中でプッシュアップしているように抵抗が少ない。ここでも自分をフル・プッシュアップに捧げる。痛みがないので、1レップに集中できる。フォームも崩れない。1レップに愛情を注ぎ、フォームを完璧なものに仕上げていく。本人は気づいていないが、この姿勢が彼をさらに強くしていく。(297~298ページ)

それにしても、最高難度に設定された、片腕だけのワンアーム・プッシュアップは、えげつない過酷さだ。普通の男なら0回でギブアップだろう。一度ひじを曲げたが最後、そのまま床に顎を打ちつける。ステップ1からの順序を遵守すれば、いつかできるようになるのだろうか。

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ステップ10のワンアーム・プッシュアップ(『プリズナートレーニング』91ページ)

それすらも難なくこなせるようになった猛者ならば、ジョーお得意の片親指プッシュアップ(ワンサム・プッシュアップ?)に挑戦してほしい。

しかも、本書では「その先へ」と題して、究極難度のプッシュアップが紹介されている。98ページ掲載の「プランク」に至っては、テレビで観かける体操選手以外で、できる人がいるのかと信じられないぐらいだが、全身をバランスよく鍛え上げて「ビッグ6」を極めれば、不可能ではないのだろう。

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プランク(『プリズナートレーニング』98ページ)

あなたのその体の中に、数え切れないほどの難関が次々と待ち構えている。それがキャリステニクスの奥深さである。

無の中に、有を見いだす。真の幸せを、内なる原点に求める。その点でキャリステニクスは、東洋人の感覚でも自然と受け入れやすい筋トレ法といえる。

もちろん、尊敬できるトレーナーや同好の友との出会いを得やすいなど、ジム通いにも大きな長所があるのは確かだ。しかし、かっこよく健康的な体を得るのに、ジム通いしか選択肢がないという認識が間違いであると、本書は雄弁に物語っている。


『プリズナートレーニング――

 圧倒的な強さを手に入れる究極の自重筋トレ』

 ポール・ウェイド 著

 山田雅久 訳

 CCCメディアハウス

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