最新記事

BOOKS

メンタリストDaiGoがなぜかオススメした1冊のアイデア本

2019年9月20日(金)17時00分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

邦訳版も初版は1988年で、日本で四半世紀にわたって売れ続けてきたロングセラーである。多くの広告クリエイター、あるいはアイデアの出し方を模索するあらゆる業種のビジネスパーソンに支持されており、累計30万部にも達している。

2017年に漫画化され、再評価されてブームとなった『君たちはどう生きるか』(吉野源三郎・著)は1937年に初版が世に出た。2000年代に入って東京大学生協の書籍ランキングで1位になるなど話題を呼び、長く読み継がれている『思考の整理学』(外山滋比古・著)は1983年に刊行された。

よい本は長く売れる。古典回帰も一部で言われるなか、『アイデアのつくり方』はこれらの本と比べても遜色がないと言えるのではないか。

この本は時代が変わっても古びない、発想術のエッセンスを凝縮させた1冊だが、DaiGo氏が言うように、読みやすさも人気の理由かもしれない。わずか104ページという薄い本で、しかもそのうち26ページが、科学雑誌『Newton』初代編集長で東大名誉教授の故・竹内均氏による解説である。

その凝縮されたエッセンスのさらにごく一部をここで紹介しておくと、著者はこう書いている。


 アイデア作成の基礎となる一般的原理については大切なことが二つあるように思われる。
 そのうちの一つには既にパレートの引用のところで触れておいた。即ち、アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもないということである。
(中略)
 関連する第二の大切な原理というのは、既存の要素を新しい一つの組み合わせに導く才能は、事物の関連性をみつけ出す才能に依存するところが大きいということである。
(27~28ページより)

この一般的原理が、過去80年間、世界のビジネスパーソン(や、モテたい男性たち)を導いてきた。今も有効な原理であることは、DaiGo氏が紹介する通りだ。


アイデアのつくり方
 ジェームス・W・ヤング 著
 今井茂雄 訳
 竹内 均 解説
 CCCメディアハウス

【参考記事】起業家けんすうが10年以上勧めてきた1冊の本
【参考記事】「肩書のない人になりたい」はあちゅうの原点となった1冊


190924cover-thum.jpg※9月24日号(9月18日発売)は、「日本と韓国:悪いのはどちらか」特集。終わりなき争いを続ける日本と韓国――。コロンビア大学のキャロル・グラック教授(歴史学)が過去を政治の道具にする「記憶の政治」の愚を論じ、日本で生まれ育った元「朝鮮」籍の映画監督、ヤン ヨンヒは「私にとって韓国は長年『最も遠い国』だった」と題するルポを寄稿。泥沼の関係に陥った本当の原因とその「出口」を考える特集です。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

EU、凍結ロ資産活用へ大詰め協議 対ウクライナ金融

ビジネス

トランプ氏、次期FRB議長候補の最終面接を今週開始

ワールド

トランプ氏、メキシコなどの麻薬組織へ武力行使検討 

ビジネス

米国株式市場=S&P小幅安、FOMC結果待ち
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキング」でトップ5に入ったのはどこ?
  • 3
    中国の著名エコノミストが警告、過度の景気刺激が「財政危機」招くおそれ
  • 4
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 5
    「韓国のアマゾン」クーパン、国民の6割相当の大規模情…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「1匹いたら数千匹近くに...」飲もうとしたコップの…
  • 8
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    ゼレンスキー機の直後に「軍用ドローン4機」...ダブ…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中