最新記事

筋トレ

「囚人式」コンディショニングが、ビジネスパーソンに必要な理由

2019年3月22日(金)18時30分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

スパルタ軍、ローマ時代のグラディエーター、大道芸人やストロングマン(怪力男)などを通じて伝承されてきたその技術は、ウエイトもマシンもない監獄の中でかろうじて生き延びていた。囚人の先輩からキャリステニクスを学んだウェイドは、その技術を自らの体で実践し、関連する書物を読み漁ることで極めていった。

いつしかウェイドは監獄で一目置かれる存在になっていき、入獄してくる新米たちにそのコンディショニング技術を伝授するようになる。ついたあだ名が「エントレナード」(スペイン語でコーチを意味する)だ。

彼のもとには、さまざまな身体タイプと筋力を持つ男たちが集まってきた。エントレナードとして必要になったのが、誰にでも始められ、監房という狭いスペース内でも強い筋肉がつけられるシステムだった。試行錯誤した結果できたのが、コンビクト・コンディショニングなのだ。

週2〜3回の筋トレで、何歳であっても筋肉が増えていく

ウェイドが編み出したシステムの秀逸なところは、筋トレの超初心者でも始められるところにある。それぞれのエクササイズが10のステップに段階分けされており、ステップ1はケガを負った後のリハビリに使えるほど負荷が軽い。相手にするのは、自分の体だけ。器具もほとんど必要としないのでコストも掛からない。

「監獄の中で通用したやり方だ。外の世界で通用しないはずがない」とウェイドは言う。コンディショニングを始めたい人にとって、これ以上のシステムはないだろう。

コストが掛からず、超初心者でも始められる――。そこまで聞いても、まだ躊躇する人がいるかもしれない。例えば、年齢を言い訳に......。

ウェイドは『プリズナートレーニング』の中で、何歳であっても筋トレを始めるべきだと繰り返し述べている。「古い時代のストロングマンたちは80 代になっても見事な体をもっていた。それを考えれば、50、60はヒヨッ子みたいなもの」らしい。

その言葉を裏付けるように、週2〜3回筋トレをやれば、何歳であっても筋肉が増えていくことが分かっている。90代になっても、負荷さえ加えれば、私たちの体は筋肉をつけることで応えてくれる。

筋肉は負荷をかけないと退縮していく。40歳前後からその減少傾向が見られるようになり、そこからの10年で8%ほどを失い、その減少が年々加速化していくと言われる。加齢による筋肉の喪失が、血圧や血糖値の上昇の一因になっていることが、近年指摘されるようになった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米製薬メルク、英ベローナ買収で合意間近 100億ド

ビジネス

スターバックス中国事業に最大100億ドルの買収提案

ワールド

マスク氏のチャットボット、反ユダヤ主義的との苦情受

ワールド

ロイターネクスト:シンガポール、中国・米国・欧州と
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、「強いドルは終わった」
  • 4
    「ヒラリーに似すぎ」なトランプ像...ディズニー・ワ…
  • 5
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 6
    犯罪者に狙われる家の「共通点」とは? 広域強盗事…
  • 7
    自由都市・香港から抗議の声が消えた...入港した中国…
  • 8
    人種から体型、言語まで...実は『ハリー・ポッター』…
  • 9
    名古屋が中国からのフェンタニル密輸の中継拠点に?…
  • 10
    「けしからん」の応酬が参政党躍進の主因に? 既成…
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 3
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸せ映像に「それどころじゃない光景」が映り込んでしまう
  • 4
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 5
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 6
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 7
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 8
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、…
  • 9
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 10
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 4
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 5
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 6
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 7
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 8
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中