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コメ騒動

JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「過剰な20万トン」でコメの値段はこう変わる

WHY THAT PRICE

2025年6月19日(木)18時07分
稲垣公雄(三菱総合研究所研究理事・食農分野担当本部長)

1990年から2024年までのコメの価格の推移グラフ

この構造を見て、「農協の概算金が高いから米価が上がる」と考えるのは全くの誤りである。

農協は「概算金を高く提示しないとコメが集まらない」から、高い価格を提示しているだけだ。逆にコメ余り、米価の低迷時は「これぐらい下げないと、卸や小売りが買ってくれない」という価格が農家に対して提示される。

そもそも集荷業者とコメ卸の違いは、収穫したコメを乾燥調製するかどうか、の違いだ。今や多くの中規模以上の農家は自前の乾燥調製施設を持っている。乾燥調製施設があれば、農協もコメ卸も出荷先の選択肢の1つでしかなく、決定権は間違いなく農家側にある。


「やっと一息」が農家の本音

「5次卸まであるコメ卸は流通構造が複雑」という指摘もある。一般論として日本の食品流通は他の先進国に比べて複雑で事業者が多いというのは事実だろう。

だが、例えば日本のコメ流通が青果物流通に比べて特に複雑だとか、事業者数が多いという事実はない。業界内でも「5次卸」という一般概念があるわけではなく、それが何を指しているのかは必ずしも明確ではないのだ。

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