最新記事

仕事

空前の人気、ライターの魅力は仕事とプライベートを「分けない」働き方

2021年12月9日(木)11時31分
佐藤友美

彼/彼女たちに話を聞くと、仕事とプライベートに境目はありません。むしろ、仕事とプライベートを堂々と混同して、人生を楽しんでいるように見えます。そういう人たちは、プライベートでの関心ごとについて企画を立て、取材をしたり調べ物をしたりして、原稿を書く。また、仕事で得た知識をプライベートに活用して、生活を豊かにしていく。そういった働き方を、自然と選び取っているように見えます。

ライターという職業が、今の時代になって空前の人気を集めているのも、場所や時間を選ばない、自分の生活にフィットさせることができる職業だからかもしれません。

自由な働き方をするとは企画が立てられるということ

もちろん、フリーランスになれば、誰もが好きな仕事だけして食べていけるわけではありません。これはライターに限りませんが、フリーランスは「選ばれないと仕事ができない」。当たり前のことですが、これを見落として安易にフリーになった人は苦労します。

フリーランスが自由に決められるのは、仕事や働き方を自分で選ぶことまで。「好きな人と好きな仕事だけして貧乏してもいい」の価値観から、「苦手な仕事を受けてでも稼ぐぞ」の価値観まで、そのグラデーションのどこを選ぶか。その選択は自由ですが、一度引き受けた仕事に対しては求められる内容を納品する必要があります。

そこで、最近は自分のライター講座でも「いかに、選ばれ続けるライターになるか」と「いかに、企画を通せる人間になるか」といった、書くこと以外の技術を身につけることを重要視しています。

たとえば、ライターの場合、文章が上手いからといって売れっ子になれるわけではありません。これは、TOEICが満点だからといって、外資系企業で活躍できるとは限らないのと似ています。拙著、『書く仕事をしたい』でも触れましたが、書いて生きていくには、文章力「以外」の技術が8割を占めます。

そしてこれは、ライターに限ったことではなく、自分がやりたい仕事を増やし、心身ともに健康で楽しく稼ぐには、


●コンスタントに仕事を受注する営業力
●自分の興味を仕事に結びつける企画力
●納期を守るための物理的な工夫
●仕事相手と良い人間関係を築くコミュニケーション力
●disコメントや批判に対するメンタルの防御力

などが重要になってきます。

仕事とプライベートを切り分けないからこそ、プライベートを逃げ場、あるいはもう1つの世界として確保することはできません。だからこそ、いいことがあっても、悪いことがあっても、相対的には自分の人生のすべての時間を愛せるようになる工夫が必要です。

私はすべてのライター、ひいてはフリーランスで働く人たちが病まずに、できるだけ長く、稼ぎ、生きていければいいと考えています。そのための手段は、『書く仕事がしたい』に詳しく書きましたが、現在は、そういう働き方を選択しやすい時代になったと思っています。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トルコでIS戦闘員と銃撃戦、警察官3人死亡 攻撃警

ビジネス

独経済団体、半数が26年の人員削減を予想 経済危機

ワールド

中国軍、台湾周辺で実弾射撃伴う演習開始 港湾など封

ビジネス

韓国クーパン、顧客情報大量流出で11.8億ドルの補
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それ…
  • 5
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 6
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    「アニメである必要があった...」映画『この世界の片…
  • 9
    2026年、トランプは最大の政治的試練に直面する
  • 10
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中