コラム

2025年「中東のキープレーヤー」はムハンマド皇太子...トランプと家族ぐるみの「サウジの若きリーダー」とは?

2024年12月26日(木)17時55分
ムハンマド皇太子

JOHANNA GERONーREUTERS

<石油依存から脱したいサウジが掲げる「ビジョン2030」まで、あと5年。39歳の若き指導者の政治手腕が注目される>

若き39歳のムハンマド皇太子は、イスラムの盟主を自負するサウジアラビアの事実上の指導者として、戦火に揺れる中東の2025年のキープレーヤーとなるだろう。

石油依存から脱したいサウジが経済の変革を目指して掲げた「ビジョン2030」まであと5年。

目玉事業である未来都市ネオムの建設工事の遅延が取り沙汰され、国内の舵取りに注目が集まるが、最大の焦点は外交、特にドナルド・トランプ次期米大統領との関係だ。


トランプは第1次政権でサウジを最初の外遊先に選んだ。同政権の上級顧問を務めた娘婿ジャレッド・クシュナーは今やサウジの資金でファンドを運営し、文字どおり「家族ぐるみ」の関係が続く。

トランプ政権の仲介で実現したアラブ首長国連邦およびバーレーンとイスラエルの国交正常化の背後には、今後のサウジとイスラエルの国交正常化を見越すムハンマドの思惑も指摘された。

ただ、サウジは「八方美人外交」を行い、アメリカと友好関係を築く一方で、23年には中国の仲介でイランとの外交関係を正常化させた。

イスラエルとアラブ諸国の関係構築を進めたいトランプと、ガザ戦争を受けてパレスチナ国家の樹立を主張するムハンマドがどう「ディール」するかは、今後の中東の安定を大きく左右する。

若き指導者がどんな外交ビジョンを描くのか、その手腕に注目だ。


プロフィール

曽我太一

ジャーナリスト。東京外国語大学大学院修了後、NHK入局。札幌放送局などを経て、報道局国際部で移民・難民政策、欧州情勢などを担当し、2020年からエルサレム支局長として和平問題やテック業界を取材。ロシア・ウクライナ戦争では現地入りした。2023年末よりフリーランスに。中東を拠点に取材活動を行なっている。

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