コラム

米大統領選2024は「トランプ対バイデン」の再戦へ、選挙戦を左右する5つの要因とは

2023年12月21日(木)17時44分
2024米大統領選挙の5つの要因

AI-GENERATED IMAGE BY SHUTTERSTOCK. AI/SHUTTERSTOCK

<24年米大統領選は20年の再現となりそうだ。勝敗を大きく左右しそうな5つの外的要因を解説。接戦必至の選挙戦を有利に進めそうなのはー。本誌「ISSUES 2024」特集より>

2024年米大統領選では、ドナルド・トランプ前大統領が共和党の候補者指名を三たび獲得することが、ほぼ確実な情勢だ。

いくつもの刑事事件で起訴されても、共和党の中核支持層の気持ちは離れていない。

支持者はトランプの政策や人間性以上に、リベラル派を苦しめていることに快哉を叫んでいるからだ。

ほかの共和党候補は、相次ぐ刑事事件で有権者が「トランプ疲れ」を起こす可能性にかすかな望みを懸けていたが、中核支持層の間にそうした気配は全くない。

共和党内の対抗馬であるニッキー・ヘイリー元国連大使かフロリダ州のロン・デサンティス知事が指名を獲得する場合も、最も可能性が高いシナリオは、候補者選びの決着がついた後でトランプの有罪が確定し、党指導部が候補者差し替えを決めるというパターンだ。

その意味では、候補者指名レースで最大の注目点は党内の2位争いかもしれない。

候補者指名レースの最初の2つの州であるアイオワ州(1月15日)とニューハンプシャー州(1月23日)は小さな州だが、選挙戦で両州が持つ意味は非常に大きい。

ヘイリーもデサンティスも序盤の両州でトランプと接戦に持ち込めなければ、裁判の動向に関係なく、トランプの指名獲得は揺るがないだろう。

序盤戦では、共和党内の2番手と3番手の差にも注目したい。もしその差が大きく広がれば、3番手の候補者が降りて「2・3位連合」を形成して選挙戦を戦う可能性もある。

23年12月上旬の時点で、アイオワ州の支持率トップはトランプだ。2位は約30ポイントの差でデサンティス、3位はさらに3ポイント離れてヘイリーとなっている。

ニューハンプシャー州ではヘイリーが2位と健闘しているが、それでもトランプとは27ポイントの差がある(デサンティスは4位)。早い時期に予備選が実施される州の世論調査を見ると、2位争いで優勢なのはヘイリーだ。

ヘイリーは、以前州知事として高い人気を誇ったサウスカロライナ州(2月24日)での起死回生を狙っている。だが、同州でもトランプに31ポイントの水をあけられているのが現状だ。

トランプの候補者としての強さは、16年の大統領選にはっきり見て取れる。

この選挙ではアイオワ州でこそ僅差で敗れたが、最終的には圧勝で候補者指名を獲得した。現時点でのトランプの支持率は、この前々回の選挙の2倍に達している。

プロフィール

サム・ポトリッキオ

Sam Potolicchio ジョージタウン大学教授(グローバル教育ディレクター)、ロシア国家経済・公共政策大統領アカデミー特別教授、プリンストン・レビュー誌が選ぶ「アメリカ最高の教授」の1人

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:「豪華装備」競う中国EVメーカー、西側と

ビジネス

NY外為市場=ドルが158円台乗せ、日銀の現状維持

ビジネス

米国株式市場=上昇、大型グロース株高い

ビジネス

米PCE価格指数、インフレ率の緩やかな上昇示す 個
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 4

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 5

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 6

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 7

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 8

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 9

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 8

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 9

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 10

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story