タイ経済、下半期に減速へ 米関税で輸出に打撃=中銀

7月9日、タイ中央銀行は、国内経済が今年下半期に減速するとの見通しを示した。不確実性が高まっていると指摘した。写真は8日、バンコクの港で撮影(2025年 ロイター/Athit Perawongmetha)
[バンコク 9日 ロイター] - タイ中央銀行は9日、国内経済が今年下半期に減速するとの見通しを示した。不確実性が高まっていると指摘した。
経済のけん引役である輸出は、米国の関税を受けて今年下半期に前年同期比で4%減少する見込み。
米国は昨年、タイにとって最大の輸出市場だった。総輸出の18.3%を占め、輸出額は550億ドルに達した。8月1日までに対米通商交渉で合意に至らなければ、米国から36%の関税を課される可能性がある。
タイ商工会議所大学が9日公表した消費者信頼感指数は28カ月ぶりの低水準。関税や政権の安定を巡る不透明感が背景。5カ月連続の低下となった。
中銀のピティ副総裁は、経済成長率が潜在成長力を下回っていると指摘。今年の経済成長率を2.3%、来年を1.7%と予測した。
商務省によると、1─5月の輸出は前年比14.9%増。米関税の一時停止期間終了を控えた駆け込み輸出も影響した。
タイ中銀は今年の輸出を4%増、来年を2%減と予測している。
タイ荷主協議会は9日、今年の輸出予測を従来の1─3%増から0─1%増に引き下げた。
中銀は9日公表した6月25日の金融政策会合の議事要旨で、国内の経済成長と金融情勢は複数の要因で抑制されており、金融政策だけで対応しても効果は限定的だと指摘した。