コラム

復活Vタイガー・ウッズは、アメリカンドリームの体現者

2019年04月25日(木)11時00分

アメリカ人は強い王者が好きだ。特にウッズのような「パイオニア」のチャンピオンは大好きだ。

97年のマスターズ初優勝当時のウッズは、史上最年少のチャンピオンであると同時に史上初の黒人のチャンピオンでもあった。大会の開催地は、その歴史を通じて黒人の会員をほとんど認めてこなかったオーガスタ・ナショナル・ゴルフ・クラブだ。ウッズはアメリカが目指すべき理想の象徴だった。新たな歴史を切り開く向こう見ずな「勝者」だった。

そして今、ウッズはさらに大きな存在になった。アメリカ人の琴線に触れるもう1つの物語、「復活の王者」の主人公になったからだ。罪とあがないは17世紀からアメリカで人気のテーマであり、それは現在のディズニー映画でも変わらない。

プロゴルファーとしてのキャリアもプライベートも一度は恥辱にまみれ、どん底まで突き落とされながら、ウッズは歯を食いしばってトップの地位を取り戻した。これぞまさにアメリカの理想だ。

<本誌2019年4月30日/5月7日号掲載>

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サム・ポトリッキオ

Sam Potolicchio ジョージタウン大学教授(グローバル教育ディレクター)、ロシア国家経済・公共政策大統領アカデミー特別教授、プリンストン・レビュー誌が選ぶ「アメリカ最高の教授」の1人

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