「Whiteout」もリトフスキーの才能を表す代表作だ。毎年ネバダ州の砂漠地帯で開催される「バーニングマン」という、原始的あるいは異次元空間的な社会的イベントがモチーフ。そこに3年ほど通って作品にしたものである。
通常、レンズについては、それほど画角が広過ぎないワイド、または標準ぎみのレンズを好むリトフスキーだが、このバーニングマン・シリーズでは比較的望遠ぎみのレンズを多用している。本来であればメインの被写体となる人物が、イメージの中ではむしろ小さく扱われているのである。
だがそれが、バーニングマンのイベントを扱った他の多くの写真家たちと、作品において大きな違いを生み出している。砂漠に吹き荒れる風と砂、それによって覆いつくされたイベント会場、そのざらつき――そうしたものが、ある種の生き物のように前面に押し出されてくるからだ。また何よりも、バーニングマン参加者たちのインターアクション(交流)のひとつの本質があぶり出されるのである。
実のところ、「Bachelorette」シリーズにしろ「Whiteout」シリーズにしろ、リトフスキーのサブカルチャー・シリーズの被写体たちは「普通の人」たちである。極めてアンダーグラウンド的だとしても、「生」を破壊してしまうような一線は決して越えない。その場を離れれば、戻るべき生活、仕事や家庭が存在している。
だが、こうした「普通の人」に潜む相反する世界観こそが、そしてその社会学的心理性こそが、リトフスキーが追い求めるものだ。それを通し、現代の人々の、とりわけリトフスキーと同じ女性のアイデンティティを探求しようとしているのである。
今回紹介したInstagramフォトグラファー:
Dina Litovsky @dina_litovsky
【お知らせ】
今回でこの「Instagramフォトグラファーズ」は、連載100回を迎えました。非常に光栄なのですが、もう1つお知らせがあります。ウェブ編集部の再編などにより、このブログは今回が最後になってしまいました。やはり寂しい限りです。長いあいだ応援していただいた読者のみなさま、およびNewsweek Japanのスタッフの方々、ありがとうございます。この場を借りてお礼を申し上げます。