コラム

And then it crosses my mind...(そして、それが私の頭の中をよぎった)

2015年08月27日(木)16時10分

【今週のTED Talk動画】 My stroke of insight - Jill Bolte Taylor http://www.ted.com/talks/jill_bolte_taylor_s_powerful_stroke_of_insight?share=1199a3b5e6&language=en


 TED Talkは、英語の勉強には非常に良い教材です。内容が面白いうえ、自然で知的な英語なので良い手本になります。最新のボキャブラリーも沢山入っていますし、世界中にファンがいるので外国人との会話の種にもなります。TED Talkを教材に、この連載で生きた英語を学んでいきましょう!

脳卒中になった脳科学者の体験

 ジル・ボルト・テイラーは、兄がSchizophrenia(統合失調症)を患っていたことがきっかけで脳に興味を持ち、脳科学者というキャリアを選ぶことになった。ある日彼女は、朝起きてから妙な頭痛があるのに気付いた。朝の体操やシャワーをしている時も。何かがいつもとは違っていた。 そして腕を動かすことができなかった時、 ようやく自分がstroke(脳卒中)になったことに気付いたのだ。

 最初の反応は、「すごい! このように自分の脳を体の中から研究する機会を持つ脳科学者はなかなかいないだろう!」という、脳科学者ならではの興奮だったそうだ。しかしそれと同時に、脳卒中は命の危険をもたらす病気だということもわかっていた。この大人気のTED Talkでは、その時の体験を段階を踏みながら、詳細にわたって活き活きと語っていて、心をつかむストーリーとなっている。彼女がこの体験から得た教訓について説明するところは、特に感動的である。

キーフレーズ解説

And then it crosses my mind...
そして、それが私の頭の中をよぎった。
(動画10:55より)

 この表現は、頭の中である考えが浮ぶという現象を表しています。その考えが突然現れ、長く残らずにその後すぐまた別の考えが現れる様子を示しており、日本語の「ふと考えた」に近いといえます。テイラー博士は、脳卒中のことを考えていたのを説明する時にこの表現を利用しています。

 ここではテイラー博士がストーリーを語っていますので、And thenには、次に起きたことを示す役割があります。そのように順番で起きたことを特に説明しない場合であれば、言わなくても構いません。そうすると、it crossed my mindという形でこのフレーズを利用できます。これは最も一般的な形です。

 このフレーズの後、考えの内容を説明します。要するに、何がcrossed my mindをしたのかを示す必要があります。

 ここで、典型的な使い方の例を紹介しましょう:

●It crossed my mind that I need to stop at the store on the way home.
(帰りに店に寄る必要があるということが私の頭の中をよぎった)

●It crossed my mind that perhaps this was not such a good plan.
(これはあまり良いプランではないかも知れないという考えが私の頭の中をよぎった)

 似た表現として、It occurred to me that....(~と思い立った)や I had a passing thought that...(~について一時的に考えた)があります。

プロフィール

ロッシェル・カップ

Rochelle Kopp 異文化コミュニケ−ション、グローバル人材育成、そして人事管理を専門とする経営コンサルタント。日本の多国籍企業の海外進出や海外企業の日本拠点をサポートするジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング社の創立者兼社長。イェ−ル大学歴史学部卒業、シガゴ大学経営大学院修了(MBA)。『シリコンバレーの英語――スタートアップ天国のしくみ』(IBC出版)、『日本企業の社員は、なぜこんなにもモチベーションが低いのか?』(クロスメディア・パブリッシング)、『反省しないアメリカ人をあつかう方法34』(アルク)など著書多数。最新刊は『日本企業がシリコンバレーのスピードを身につける方法』(共著、クロスメディア・パブリッシング)。

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