コラム

参院選が引き起こした3つの重たい事実

2025年07月23日(水)11時40分

3つ目は、偶然かもしれませんが絶妙な選挙結果です。立憲、国民、参政の3つの政党の中で、突出した勝利を獲得した政党はありませんでした。ということは、責任野党、つまり敗北して過半数を喪失した与党に変わって、民意を受けて新政権を組織する「責任」のある政党が「ない」ことになったのです。

現在は、終わりのない経済衰退と、苛酷な国際政治の環境にあって、日本という国の統治は「誰がやっても失敗する」ような時代です。そんな中で、政権という「火中の栗」を拾うよりは、野党として有権者の現状不満エネルギーに伴走していたほうが、はるかに楽な選挙戦が戦えるのです。

今回の結果は、与党にノーを突きつけるには十分な敗北を与えつつ、野党への票が分散することで、それぞれの野党が「楽な野党」のポジションにとどまることを許す結果となりました。ということは、今後も少数与党、多数野党という壮大な無責任が続くという可能性があります。


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プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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