コラム

12個入りの卵は一気に600円に! インフレの実態(中間選挙のアメリカ)

2022年11月10日(木)20時30分
卵

sergeyryzhov-iStock.

<米中間選挙の争点でもあったインフレの加速。食料品や生活必需品にも拡大している>

アメリカのインフレは、ロシアのウクライナ侵攻を受けて加速しており、現在は前年同月比8%台という高い水準で推移している。

当初はガソリン価格の高騰が社会問題だったが、その後は食料品、生活必需品など物価高は広い範囲に拡大。何もかもが高くなっているという感覚がある。

例えば食料品では、普通のレタスが1個3.5ドル、2個買うと7ドルでもう1000円を超えてしまう。

卵は12個入りが長い間1.5~2ドルで安定していたが、一気に4ドル、つまり約600円になった。

外食も同様で、ファストフード店でハンバーガーにドリンクを付けると、すぐに12~15ドルにもなる。円安のため日本の読者にはより高額に思えるだろうが、簡単なランチが2000円近いということだ。

不満を抱えながら、それでも消費者は購入する。実際のところ、コロナ禍でも痛手を受けなかったITや金融を中心に購買力はまだまだ強い。

例えば、野球のワールドシリーズはチケットが昨年の2倍に高騰し、フィラデルフィア・フィリーズの本拠地球場では一番安い席でも1枚1500ドル(約22万円)超で取引されていた。

インフレ退治のためには、FRBとしては利上げを続けるしかないようだ。

20221115issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2022年11月15日号(11月8日発売)は「日本人が知らない アメリカの変貌」特集。中間選挙が示した「政治の衰退」。この数年の政治・社会・経済の変化を現地からの最新報告であぶり出す


プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

日経平均は反落で寄り付く、主力株の一角軟調

ワールド

トランプ氏、ウクライナ和平の進展期待 ゼレンスキー

ワールド

中国財政政策、来年さらに積極的に 内需拡大と技術革

ワールド

北朝鮮の金総書記、巡航ミサイル発射訓練を監督=KC
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 3
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それでも株価が下がらない理由と、1月に強い秘密
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 6
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 7
    「アニメである必要があった...」映画『この世界の片…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    2026年、トランプは最大の政治的試練に直面する
  • 10
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story