コラム

アメリカのオフィスでは、意外にも社内恋愛が生まれにくい

2019年11月26日(火)19時40分

もう一つの背景として、アメリカの職場環境があります。まず、職場にいる時間が限られています。アメリカの職場というのは一般的にはプレッシャーが高いですが、同時に終業時間にも厳格です。残業は例外であり、また在宅勤務も広範に進められています。ですから、職場以外での人間関係を作ったり維持したりすることは十分に可能であり、特に職場恋愛をする必要もないわけです。

また職場自体が、かなり初級レベルの従業員でもパーテーションで仕切ったオフィスになっているので、大部屋ということはまずありません。また、どんな職種も現場での採用が原則ですから新卒一括採用はなく、したがって同期意識などというものもありません。ですから、職場の人間関係は比較的狭くなります。さらに言えば、終身雇用制もありませんから、転職は日常茶飯です。

そんなわけで、そもそも社内恋愛が生まれにくい職場環境があり、その結果として、管理職に対して厳格な束縛をしていても不自然ではない、そのような解釈ができます。

プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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