コラム

トランプのロシア疑惑、捜査「終結」の意味

2019年03月26日(火)10時40分

では、大統領の疑惑は完全に晴れたのかというと、必ずしもそうではありません。個人の脱税疑惑、リゾート・カジノ事業など法人との公私混同疑惑、さらには、ロシアとの関係における不道徳な行為の噂など、「弾劾には値しないが、公表されると困る問題」はまだまだ残っていそうです。

また、司法妨害に関しては、大統領個人への捜査ができなかったために証拠不十分になったという、何とも微妙な判断が下されました。そこで、焦点となるのは、
▼ムラー報告書の具体的な内容がどこまで公表されるのか?
▼その他、議会(特に下院)の国政調査権発動で、大統領の確定申告書などの公表は可能か?
という問題です。特に「ムラー報告書の具体的な内容」には関心が集まっています。今回の「共謀なし、訴追もなし」という決定を受けても、大統領自身の「機嫌」は直っていないようですが、それはこうした点への警戒感・不安感があるからかもしれません。

そんなわけで、今回の「バー司法長官書簡」は、トランプ政権をめぐるスキャンダルにとって、一つの大きな転換点になるとは思いますが、これで大統領の再選の可能性が大きくなった、とまでは言えないという評価になるでしょう。

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プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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