コラム

大混戦の民主党予備選、結局笑うのはトランプかも

2019年03月07日(木)19時00分

知名度も人気もあるサンダースだが、もし当選したら大統領就任時には79歳という高齢 Andrew Kelly-REUTERS 

<予備選に多数の候補者が出馬していることだけでなく、民主党は党全体で様々な問題をかかえている>

3月4日(月)、かねてより「民主党に鞍替え」して大統領選に出馬する意向を見せていたマイケル・ブルームバーグ前NY市長が、最終的に出馬を断念しました。またその翌日5日には前回候補だったヒラリー・クリントン氏も出馬しないと言明しています。

2人が「辞退」した動機は似通っているようです。民主党内では中道に属する2人は、同じく中道に属するとされるジョー・バイデン前副大統領との「予備選における票の食い合い」を避けたという解説がされています。おそらく、そのような計算があったのは事実でしょう。ただ、2人とも「トランプ政治を終わらせたい」という考えは強く、今後とも民主党の候補を支援するという意味では政治活動は継続するとしています。

では、これで民主党の予備選が単純化されるかというと、決してそんなことはありません。自薦他薦を含めると、20人とか、数え方によっては30人というような多数の候補の名前が出ているということもありますが、それ以前に党全体として様々な問題点を抱えているからです。

とりあえず、現時点での有力候補7人を挙げてみることにしましょう。数字は、政治サイト「リアル・クリアー・ポリティクス」が公表している、全国規模の世論調査の支持率の平均値です。(▲は出馬未表明、他はすでに立候補を表明)

・1位 ジョー・バイデン前副大統領(男性・白人・中道)▲    29.3%
・2位 バーニー・サンダース上院議員(男性・ユダヤ系・左派)  19.8%
・3位 カマラ・ハリス上院議員(女性・ジャマイカ+インド系・左派)11.8%
・4位 エリザベス・ウォーレン上院議員(女性・白人・左派)   7.0%
・5位 コーリー・ブッカー上院議員(男性・アフリカ系・左派?) 5.5%
・6位 ベト・オルーク元下院議員(男性・白人・左派)▲     5.3%
・7位 エイミー・クロブチャー上院議員(女性・白人・中道)   3.3%

このリストですが、順位も含めて問題点が3つあります。

1つ目は、上位の2人が高齢ということです。バイデン氏は76歳で仮に当選して就任すると78歳、サンダース氏も77歳で就任時には79歳ということで、これは、これまでの最高齢であるレーガン(69歳)とトランプ(70歳)の就任時よりも大幅に高齢で、1期目のうちに80代になってしまいます。

これでは、トランプサイドが「自分より6~7歳も高齢」だとして、健康不安キャンペーンを仕掛けてくると、本選では苦しい戦いになる可能性があります。それにも関わらず、高齢であるこの2人が高い支持率を得ているのは、今後の民主党の選挙戦を難しくしています。

プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イラン、サウジなどに米の攻撃制止要請か 米軍基地攻

ワールド

トランプ氏のグリーンランド獲得計画、米国民の支持1

ワールド

通常国会の早期に解散、高市首相が自民・維新に伝達 

ワールド

カタール米軍基地、一部要員に退去勧告=外交筋
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
2026年1月20日号(1/14発売)

深夜の精密攻撃でマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ米大統領の本当の狙いは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広がる波紋、その「衝撃の価格」とは?
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救った...実際の写真を公開、「親の直感を信じて」
  • 4
    飛行機内で「マナー最悪」の乗客を撮影...SNS投稿が…
  • 5
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 8
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 9
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 10
    「普通じゃない...」「凶器だ」飛行機の荷物棚から「…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 5
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 6
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 7
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 8
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 9
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 10
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広が…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 4
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 5
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 6
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 7
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 8
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 9
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story