- HOME
- コラム
- プリンストン発 日本/アメリカ 新時代
- アメリカの雇用低迷と景気の関係が変化した可能性
アメリカの雇用低迷と景気の関係が変化した可能性
歳末商戦の消費動向が米経済を検証する手掛かりになる Levine-Roberts/Sipa USA/REUTERS
<従来からの「景気=株価=雇用」の連動という図式に変化が起きているのか?>
アメリカの景気は、これまで様々な波を経験してきました。多くの場合、景気がある程度加熱すると、そこで金融当局が引き締めを開始して、景気を冷却するわけです。その結果、株価が下がり、消費が冷え込み、雇用が低迷すると本格的な景気後退となります。
今年の前半、アメリカの労働省が失業率などの統計数字について、過去に遡ってより悪い方向に修正するということがありました。これに対して、トランプ大統領は不快感を示しましたが、自分が政治を行った結果として景気が悪化したとか、雇用が悪化したということは政権への評価につながりますから、大統領の反応は理解できないものではありません。
では、景気の本丸とも言える雇用が鈍っているのなら、これは景気後退の証拠だとして株価が下がったのかというと、夏の時点ではそうではありませんでした。つまり、これまでの景気の公式、つまり景気=株価=雇用の連動という図式に変化が起きている可能性があるわけです。
具体的には、AIの影響です。AIが初級の専門職の雇用を奪っているとか、そのために大卒の初任者向けポジションが激減して、この5月に大学を卒業した世代の就活が一気に冷え込んでいるということが言われています。その一方で、多くのテック系コンサルはAIの導入による効率化を売り込んでいますし、アマゾンなど大企業が自動化による雇用の削減を公言するといったニュースが日常茶飯事になっています。
AI普及による雇用情勢悪化でも景気は堅調?
そんな中で、一つの仮説が成り立っています。それは、今回の雇用悪化は、純粋にAIによる効率化の影響であり、景気は別段悪化していないという仮説です。このストーリーが正しいかどうかは、今まさに佳境を迎えている年末商戦の結果によって判定できると言われています。つまり、雇用悪化の数字を反映するように消費が冷え込んでいたのなら、従来型の景気低迷が始まっていることになります。一方で、年末商戦が活況なら雇用低迷はAIによる効率化の副作用であって、景気そのものは堅調だということになります。
その一方で、今月中旬になって株価に変調が起きました。NYダウは、11月12日に4万8000ドルの高値をつけた後は下落に転じて、4万6000ドル近辺まで下げています。では、いよいよ本格的な景気後退が始まったのかというと、一般的に言われているのはNVIDIAなどAI関連株による「AIバブル」が加熱した部分が剥げ落ちているだけという説明です。
つまり、雇用の低迷は景気が後退したからではなく、AIの普及によるリストラや採用減によるもの。また株価の低迷は、余りにも加熱したAIバブルに部分的に修正が入っただけ。そのように説明することができ、もしかしたらアメリカの景気そのものは堅調だという可能性もあるわけです。従来型の景気=雇用=株価の連動という公式には変化が出ているというわけです。
トランプ政権の勢いに変調の兆しが漂い始めた 2025.12.24
円安と円高、日本経済に有利なのはどっち? 2025.12.17
サッカーをフットボールと呼ばせたいトランプの執念 2025.12.10
ベネズエラ船撃沈事件に揺れるペンタゴン 2025.12.03
意外にも「友好的」だったトランプ・マムダニ会談 2025.11.26
アメリカの雇用低迷と景気の関係が変化した可能性 2025.11.19
マムダニ新NY市長の左派政策、日本への影響は? 2025.11.12






