コラム

京アニ事件であり得たはずの「防ぐ手立て」...無敵の人の「論理」を読む

2025年07月31日(木)15時38分
日本社会, 犯罪, 事件, 日本、京都アニメーション、無敵の人、青葉真司、京アニ事件、新聞協会賞、自分は「底辺の人間」です、涼宮ハルヒの憂鬱、凶悪事件、無差別殺人

今回のAIイラスト:今も大阪拘置所にいる青葉の本心はどこに AI GENERATED ART BY NEWSWEEK JAPAN VIA DALL-E3

<京都アニメーション放火殺人事件から6年。凶行直前、青葉真司死刑囚のとっての分岐点とは?プチ鹿島さんが京都新聞の取材をもとに解説します>

ニュースは好きだが、苦手だと思うものもある。凶悪事件を起こした犯人の背景を追うことだ。非道な事件を起こした犯人の頭の中、いや「論理」をなぜ、こちらが? 正直に書くとそんな思いも抱いてきた。

2019年7月18日の京都アニメーション放火殺人事件。アニメーターら従業員36人が死亡し、32人が重軽傷を負った。地元紙の京都新聞は事件後の6年間取材を重ねた。新聞の読みどころは日々のニュースだけでなく、記者たちがじっくり調べた取材を読むことにもある。組織ジャーナリズムの強みだ。


地元紙なら、事件・事故現場の理不尽に正面から向き合うことになる。同紙の京アニ事件の連載「理由」は昨年度の新聞協会賞を受賞。取材は7月、『自分は「底辺の人間」です』(講談社)という一冊の本になった。

「底辺の人間」は京都地裁の公判で青葉真司死刑囚が自らを定義した言葉だ。家庭環境に恵まれなかった幼少時代。高校卒業後に働いたコンビニで後輩はサボるばかり。不本意さを押し殺していたが「言っても分からないなら、行動で示すしかない」と、力でねじ伏せて黙らせる「底辺の論理」に染まったと法廷で述べた。

プロフィール

プチ鹿島

1970年、長野県生まれ。新聞15紙を読み比べ、スポーツ、文化、政治と幅広いジャンルからニュースを読み解く時事芸人。『ヤラセと情熱 水曜スペシャル「川口浩探検隊」の真実』(双葉社)、『お笑い公文書2022 こんな日本に誰がした!』(文藝春秋)、『芸人式新聞の読み方」』(幻冬舎)等、著作多数。監督・主演映画に『劇場版センキョナンデス』等。 X(旧Twitter):@pkashima

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

マクロスコープ:ディープシーク衝撃から半年、専門家

ビジネス

マクロスコープ:ディープシーク衝撃から半年、専門家

ビジネス

丸紅、25年4─6月期は8.3%最終増益 通期予想

ビジネス

財新・中国製造業PMI、7月は49.5に低下 予想
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 2
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 3
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから送られてきた「悪夢の光景」に女性戦慄 「這いずり回る姿に衝撃...」
  • 4
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 5
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 6
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 7
    一帯に轟く爆発音...空を横切り、ロシア重要施設に突…
  • 8
    【クイズ】2010~20年にかけて、キリスト教徒が「多…
  • 9
    街中に濁流がなだれ込む...30人以上の死者を出した中…
  • 10
    50歳を過ぎた女は「全員おばあさん」?...これこそが…
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの習慣で脳が目覚める「セロ活」生活のすすめ
  • 3
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜つくられる
  • 4
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 5
    航空機パイロットはなぜ乗員乗客を道連れに「無理心…
  • 6
    中国が強行する「人類史上最大」ダム建設...生態系や…
  • 7
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 8
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 9
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 10
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 5
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 6
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 7
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 10
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story