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【銘柄】トヨタのTOBが示す変化...企業が迫られる「上場廃止」次の注目はイオンとキヤノン

2026年03月07日(土)08時30分
佐々木達也(証券アナリスト、金融ライター)
キヤノンのカメラ

TOBの有力候補として名前が挙がるキヤノン Diego - stock.adobe.com

<上場廃止が増えている。東証によるPBR是正要請で、投資家にもリターンの期待が高まる流れができつつある。トヨタや日産に続くのはどこか>

2025年、上場廃止により東京株式市場を去った企業数は125社に上り、2年連続で過去最多を記録しました。東証や、いわゆる「物言う株主」(アクティビスト)による企業価値向上への圧力が強まり、上場の意味が真に問われる時代がやってきたと言えます。

短期的な利益を求める外部の声に惑わされず、MBO(経営陣による買収)で投資家にプレミアムを支払って株式市場から退場する企業も増えています。

変わる投資家と企業の力関係

東証は2023年から、PBR(株価純資産倍率)が1倍を下回る、つまり、株価が解散価値を下回って上場継続の意味が問われる企業に対して、企業価値を向上するよう是正を求めてきました。これにより、持ち合い株を売却し、株主還元や成長投資に回す企業も増えました。

さらに、子会社をTOB(株式公開買い付け)などで完全子会社化し、親子上場を解消させる事例も増えています。こうした中で、企業と投資家の力関係にも変化が生じつつあります。

トヨタグループは2025年6月、豊田自動織機<6201>について、TOBを通じて株式を非公開化すると発表しました。この背景には、豊田自動織機が保有するトヨタ自動車<7203>やデンソー<6902>の持ち合い株を有効活用する、という意向もありました。

これに対して、アメリカの投資ファンド、エリオット・インベストメント・マネジメントなどの物言う株主が「TOB価格が安すぎる」と反発。その後、トヨタグループは買い付け価格を引き上げる異例の対応を余儀なくされました。

グループ再編に際してのTOB価格は、これまでは親会社の言い値が通りやすく、少数株主の保護という観点から異論が出ていました。今回の豊田自動織機の事例は、投資家の発言力が強まっていることの象徴と言えるでしょう。

■投資家に大幅なプレミアムを提示したINFORICH

TOB価格にも変化が表れています。これまでは直近の株価から3~4割上乗せした価格が、ある意味で慣例となっていました。しかしながら、2月に実施されたINFORICH<9338>のMBO事例はこの慣例から離れており、市場関係者の間で驚きが広がりました。

INFORICHは、モバイルバッテリーシェアリングサービスの「チャージスポット」を運営しています。2月13日、投資ファンドのベインキャピタルと組んだMBOを発表。提示されたTOB価格4560円は発表前日の株価の2倍超で、投資家には大幅なプレミアムが提示されました。

INFORICHは海外での成長を加速させるため、多額の先行投資を予定しています。経営側としては、大きなプレミアムを支払ってでも、迅速な意思決定を可能にするために株式を非公開化したい、という意向が具現化された事例となりました。

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