駐留米軍への攻撃が急増...ウクライナとガザから緊張が飛び火、シリアで高まる脅威とは?
ウクライナ侵攻の開始と同時期に
こうしてシリアは第二次世界大戦後に数少ない、米ロがともに公式に活動する戦場になった。
こうした経緯のもと、アメリカはシリアのアルタンフに駐屯地を設けた。トランプ前政権は2019年10月、シリア北部の米軍撤退を命じたが、南部のアルタンフ駐屯地はそのまま残った。
これに関してシリア政府は承認しておらず、しばしば退去を求め、それをアメリカが無視してきたという因縁がある。
とはいえ、米ロの直接衝突はどちらに取ってもリスクが高い。そのため、米ロは2019年、不測の事態を避けるため、航空機で相手の軍事施設上を通過しないことなどに合意した。
米軍によると、ロシア軍機の威嚇は昨年3月から急増したという。
だとすると、ちょうどロシアによるウクライナ侵攻の開始とほぼ同じ時期に、アルタンフ駐屯地などでの威嚇行為が増えたことになる。
そしてこの緊張をさらに高めたのが、ガザ危機だった。
ガザ情勢の飛び火
パレスチナのイスラーム組織ハマスが10月7日、イスラエルにかつてない規模の攻撃を開始したが、それにともないシリアやイラクの米軍施設に対する攻撃が急激に増えたのだ。
米国防総省報道官は10月23日、その前週に5度、アルタンフ駐屯地などにドローン攻撃が行われたことを明らかにして、「脅威がエスカレートしている」と警告した。アメリカはこれがイランによるものとみている。
アメリカがイスラエルを一貫して支援してきたのと対照的に、イランはハマスを支援してきた。
これに加えて、イランはイスラエルの北隣レバノンのシーア派組織「ヒズボラ」も1980年代から支援している。
ヒズボラはイスラエルの北隣レバノンの南部に拠点をもち、イスラエルともしばしば交戦してきたが、10月7日のハマスによる攻撃をきっかけにイスラエル攻撃を加速させている。
2011年に始まったシリア内戦の大局が決した後も、イランやヨルダンの国境に近いアルタンフに米軍が拠点を構え続けたのは、「IS残党の掃討」という公式の理由だけでなく、イランからレバノンに至るルート上にあるこの地を監視することがあったとみられている。
危ういバランスのシリア
つまり、ガザでの戦闘激化は連鎖反応的に、シリアやイラクに駐留する米軍への攻撃も増やしている。
この地域の米軍施設を防御するため、米軍は弾道弾迎撃ミサイルシステムTHAADや対地攻撃機A-10の追加派遣を決定し、その一部はすでにペルシャ湾近海に展開している。
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