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アングル:日本のM&Aで増す株主の存在感、経営判断の「その後」も意識

2026年01月09日(金)13時34分

写真は東京のオフィスビル。2021年1月、東京で撮影。REUTERS/Kim Kyung-Hoon

(見‍出しを修正しました。)

Miho Uranaka

[東京 9日 ロイター] - 日本企業のM&A(合併・買収)市場は2025年に‌過去最大を記録した。背景には、コーポレートガバナンス改革の進展に伴いアクティビスト(もの言う投資家)など株主の発言力が高まっていることがあり、企業には迅速な意思決定と説明責任がより強く求められるようになった。今年も市場の活況が続‌くと見込まれる中、非公開化などに至った企業の​経営判断の「その後」の展開も意識され始めている。

<昨年のM&Aは倍増、国内市場がけん引>

LSEG(ロンドン証券取引所グループ)の集計によると、25年の日本企業関連のM&A総額は51兆1800億円と、前年の約23兆円から倍増した。

特徴的なのは、国内取引が市場をけん引した点だ。トヨタ自動車と豊田自動織機、NTTとNTTデータグループなど親子上場の解消、ソニーグループのノンコア事業の切り離しなど、企業が自らの資本構成や事業ポートフォリオを見直す動きが相次いだ。LSEGによると、国内取引と国境を‌越えるクロスボーダー取引の件数は約半々だったが、金額上位案件では国内企業のグループ再編が目立った。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券でM&Aアドバイザリー・グループを統括する竜口敦氏は、国内取引の存在感がここまで高まる構図は「少なくとも直近5年ではみられなかった」と話し、「マーケットの構造に変化が表れた年だった」と指摘した。

<株主主導の構造へと変化>

こうした変化を強く後押ししているのが、アクティビストを含む株主の影響力の拡大だ。ゴールドマン・サックス証券の投資銀行部門共同統括責任者、山形聡氏は「アクティビストの存在が、企業の意思決定を加速させるケースがみられる」と語る。「これまでは『今すぐ決めなくてもよい』と先送りできた判断に対して合理的な説明が求められる場合があり、できなければリスクになり得る。結果として、企業価値・株式価値の向上を念頭に、経営陣が前倒しで選択肢を検討するケースが増えている」という。

山形​氏によると、株主がとりわけ強く問題提起するのが「上場している意義そのもの」だ。少数株主への配⁠慮や資本効率の改善を求める声が強まる中、非公開化や再編を含む選択肢について企業は従来以上に明確な説明を迫られ、結果的に非公開‍化を選択する企業は増加している。

アクティビストが、経営改善提案だけでなく公開買い付け(TOB)などの「取引条件や価格そのものの見直しを迫るケースも増えている」(SMBC日興証券の石丸雄輔・M&Aアドバイザリー副本部長)。経営陣による自社買収(MBO)を目指していたソフト99コーポレーションのケースでは、 投資会社エフィッシモが対抗TOBを実施。トヨタ・グループの再編でも、米投資ファンドのエリオットが買収条件や評価の妥当性について意見している。

企業の経営判断へのアクティビストの関与が深まるにつれ、企業と投‍資家の関係性にも変化が生じている。野村証券でグローバルM&Aを統括する新田圭・常務執行役員は、経営陣が投資家の声をこ‍れまで以‌上に真剣に受け止めるようになり「上場している意味を経営者が考えるようになってきている」と話す。社‍外取締役の間でも、緊張感が高まっているとの声も聞かれる。

<市場は拡大も、問題先送りには懸念の声>

株主の意欲に支えられ、日本のM&A市場はしばらく活況が続くと予想されている。野村の新田氏は、金利の上昇傾向や市場環境が大きく変わらない限り「現在のM&A市場の基調は変わらない」とみて、今後も「コーポレートアクションを実行するにあたり、株主への説明責任やM&A実務対応の高度化が求められる局面が続く」と見込む。

証券各社でも企業をサポートする態勢を拡充しており、アクティビスト対応を「総合格闘技のよう⁠なもの」(資本戦略アドバイザー部の菊池安弘部長)と語るみずほ証券では、財務戦略からガバナンス、メディア対応までを横断的に支援。大和証券グループ本社も、昨年10月に資本市場戦略部を新設した。

一方、アクティビストや敵対的買収への⁠防衛策として非公開化を助言したあるM&A関係者からは「結局は問題を先送りした‍だけにならなければいいが」と懸念の声も漏れる。

多くの場合、企業の非公開化の受け皿となっているプライベートエクイティ・ファンドは、非公開となった数年後には保有株を売却する。市場では、アクティビスト対応という短期的な課題だけにとらわれず、財務負担が重くなる可能性もある非公開化​後の経営戦略の重要性を指摘する声も出る。

なお、25年のM&A助言ランキング(リーグテーブル)では、野村証券が23兆2000億円で首位だった。豊田自動織機やNTTデータの非公開化で、買収側の助言を担った。次いでゴールドマン・サックス証券の16兆7400億円。プライベートクレジットを活用した新型ファイナンスを通じ、住友商事や三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)傘下の航空機リース会社による米航空機リース大手エアリースの買収を助言した。3位は三菱UFJモルガン・スタンレー証券で、14兆8900億円だった。

ロイター
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