コラム

石破首相が退陣表明、後継の「ダークホース」は超意外なあの政治家

2025年09月07日(日)23時54分

順当なら高市、小泉が有力候補に

今後、新総裁を選ぶ総裁選が実施されることになる。党員・党友も投票する「フルスペック型」になるか「簡易型」になるかは決まっていないが、これまで自民党総裁選は広く国民的な関心を集めてきた。2024年9月に行われた前回の総裁選は9人もの候補者が乱立し、たいへんな注目を集めた。1回目の投票は、

高市早苗=181票(国会議員票72票+党員票109票)
石破茂=154票(国会議員票46票+党員票108票)
小泉進次郎=136票(国会議員票75票+党員票61票)
林芳正=65票(国会議員票38票+党員票27票)
小林鷹之=60票(国会議員票41票、党員票19票)
茂木敏充=47票(国会議員票34票+党員票13票)
上川陽子=40票(国会議員票23票+党員票17票)
河野太郎=30票(国会議員票22票+党員票8票)
加藤勝信=22票(国会議員票16票+党員票6票)

という結果で、誰も過半数を超えなかったため、決選投票が行われた。高市早苗候補優勢かと思われたが、番狂わせが起き、

石破茂=215票(国会議員票189票+都道府県連票26票)
高市早苗=194票(国会議員票173票+都道府県連票21票)

という結果で、逆転勝利を収めたのが石破氏だった。


 

前回の総裁選結果を踏まえると、順当に行けば、今回の総裁選でも高市早苗元総務相や小泉進次郎農水相が有力候補となるだろう。逆に、立候補しなければ、総理総裁への意欲を疑われかねない。

特に高市氏は、林芳正氏が官房長官、加藤勝信氏が財務大臣として入閣(小泉進次郎氏は江藤拓農水相が事実上更迭された後に入閣)したのに対して、一貫して石破政権に距離を置き、好位置につけていると言えるだろう。高市政権が誕生すれば、わが国で初の女性宰相が生まれることになる。

これに対して「石破後継」を掲げて政策推進の継続性を訴えることもできるのが小泉進次郎農水相だ。コメ価格高騰問題では、賛否両論相半ばしたとはいえ、その精力的な陣頭指揮ぶりは連日のようにニュースで報じられた。国民的人気は今も高い。辞任表明前夜に菅元首相とともに訪れた首相公邸では、菅氏退室後も長時間、石破首相と話し込んだという。2021年9月に当時の菅首相が退陣を表明した際も、環境相だった小泉氏は首相官邸を4日連続で訪れて説得に当たっている。時の最高権力者の去就に重ねて関与する。誰もができることではなく、小泉農水相もまた好位置につけていると言える。

プロフィール

北島 純

社会構想⼤学院⼤学教授
東京⼤学法学部卒業、九州大学大学院法務学府修了。駐日デンマーク大使館上席戦略担当官を経て、現在、経済社会システム総合研究所(IESS)客員研究主幹及び経営倫理実践研究センター(BERC)主任研究員を兼務。専門は政治過程論、コンプライアンス、情報戦略。最近の論考に「伝統文化の「盗用」と文化デューデリジェンス ―広告をはじめとする表現活動において「文化の盗用」非難が惹起される蓋然性を事前精査する基準定立の試み―」(社会構想研究第4巻1号、2022)等がある。
Twitter: @kitajimajun

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