コラム

連立離脱の公明党が高市自民党に感じた「かつてない空気」

2025年10月11日(土)16時54分
公明党

公明党の斉藤代表(2025年7月) POOLーZUMA Press WireーReuters

<26年間続いた自民との協力関係を解消する公明党の決断に衝撃が走っている。「政治とカネ」だけではない連立解消劇の真相と、不確かになった首班指名の行方は>

公明党が連立から離脱した。斉藤鉄夫代表は10日、高市早苗自民党新総裁との会談で「連立を解消し、今後の選挙協力も白紙とする」ことを表明。首班指名選挙で高市氏に投票しないことも会見で明言した。高市総裁は「一方的に連立政権の離脱を伝えられた」と反発している。「高市政権」誕生前に、公明党が先手を打つ形で連立の解消を決断したことに衝撃が走っている。

斉藤代表は高市総裁に対して、靖国参拝をはじめとする歴史認識、外国人問題と並んで、政治献金の規制強化について懸念を伝えていた。外交問題化を回避するとして靖国神社秋季例大祭の参拝を見送る意向を示した高市氏だが、政治とカネを巡る政治改革については従来からの消極姿勢を譲らず、萩生田光一元文科相を幹事長代行に据えた。派閥パーティー券不記載問題の処分が済んだ者に対する一事不再理の原則を重視するとしても、萩生田氏の政策秘書が8月に突如、略式起訴されて有罪が確定したばかりだ。結党以来クリーンな政治を本質的理念とする公明党を刺激したことは間違いない。

企業・団体献金の受け手を政党本部と都道府県連に絞る規制強化案は、公明党が3月に国民民主党とともに作ったものだが、以来、たなざらしになっていた。国会議員であれ地方議員であれ、各議員が構える政党支部への企業献金は自民党の地力を支える生命線だ。容易には受け入れがたい。総裁としての高度な政治判断で公明党案を丸呑みする余地がなかったとは言えないが、総裁選出から1週間も経っていない高市氏に要求するのは酷でもある。党内での再議論を経て妥協を得るための時間的猶予を与えないで、政治改革姿勢の不徹底を即時連立解消の大義名分とした「我慢の限界」論はいささか無理がある。

むしろ公明党の情念に一気に火をつけたのは、高市執行部が隠そうとしなかった公明党軽視の姿勢だろう。総裁就任早々に玉木雄一郎・国民民主党代表と秘密裏に面会し、創価学会の牙城である八王子で旧統一教会と蜜月関係を築いてきた萩生田光一氏を幹事長代行に据え、公明党との関係見直しを唱えたことがある麻生太郎元首相が党中枢で睨みをきかす。

プロフィール

北島 純

社会構想⼤学院⼤学教授
東京⼤学法学部卒業、九州大学大学院法務学府修了。駐日デンマーク大使館上席戦略担当官を経て、現在、経済社会システム総合研究所(IESS)客員研究主幹及び経営倫理実践研究センター(BERC)主任研究員を兼務。専門は政治過程論、コンプライアンス、情報戦略。最近の論考に「伝統文化の「盗用」と文化デューデリジェンス ―広告をはじめとする表現活動において「文化の盗用」非難が惹起される蓋然性を事前精査する基準定立の試み―」(社会構想研究第4巻1号、2022)等がある。
Twitter: @kitajimajun

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