スパイ防止法論議での窮地を回避?
創価学会とのパイプ役が現執行部に不在の中、嫌気が差した公明党の多数派が脱高市=脱自民に舵を切ったのは、政治改革の不徹底に堪忍袋の尾が切れただけではなく、高市氏を選出した今の自民党政治にこれまでにない空気を感じたからであろう。斉藤代表は総裁選前から「保守中道路線で、理念に合った方でなければ、連立政権を組むわけにはいかない」と警鐘を鳴らしていた。
背景にあるのは日本政治の右シフトだ。夏の参院選で公明党は22年参院選に比べ、比例票で約97万票を失った。学会員の高齢化だけではなく、平和と福祉を掲げるリベラル政党としての公明党に逆風が吹いている。国家の治安力強化を目指す高市氏が今後、国民民主党・日本維新の会・参政党・日本保守党等の賛成を得て、スパイ防止法成立を目指せば、第二次安倍政権下での集団的自衛権行使容認、安全保障関連法改正時を上回る国民的議論が沸騰するだろう。その時に連立政権を維持していたら公明党は支持者にどう説明するか。ハトがタカと手を結ぶ矛盾をうまく説明できるかという懸念が現実のものとなる日が近づいていたのだ。
公明党の連立離脱が引き金となって、多党分散状況の日本政治は一気に流動化する。公明党は1999年に小渕恵三首相が自由党・公明党と組んで以来、民主党政権期(2009年から2012年)を除く23年間に渡って政権の一角を占めてきた。その公明党がいない与党を自民党は維持できるか。衆議院で比較第1党であるとはいえ、高市総裁が首班指名されるかは不確かだ。合従連衡の政治が本格化するだろう。
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