<減税論が盛んになるなか、「政府の税収が増えている」ということが根拠とされることが多い。しかし現在の税収を論じる上では避けては通れない事実がある>

政府の税収が増えているので、財源を確保できるという議論をよく耳にするようになっている。世の中では減税論が盛んになっており、税収増がその根拠とされていることも多い。政府の税収が増えているのは確かだが、それはインフレで物価が上がっていることが主要因であり、あくまでも表面上の現象である。

一般的に物価が上昇すると税収はそれに比例して増えていく。例えば消費税は、商品の販売価格に対して10%が課税されているので、100円の商品が150円に値上がりすれば消費税額も10円から15円に増える。

法人税についても似たようなメカニズムが働く。100円の商品を売っていた企業全体の売上高が1000億円だった場合、価格が1.5倍になれば、売上高は1500億円になる。同じ利益率であれば、企業の利益もその分だけ増えるので、実質的な業績に変化がなくても、名目上の税収だけは増える仕組みだ。

所得税も同様で、物価が上がると労働者の生活が苦しくなるため、企業は賃上げを実施せざるを得ない。賃上げを行えば国民の所得が増えるので、その分だけ所得税収も増加していく。

しかしながら政府の税収が増えるのは一時的な現象と捉えたほうがよい。物価が上がっているということは、政府が購入する物品や建設する施設の費用、役所で働く公務員の給料、さらには政務債務の利払い費も増加することを意味しており、時間差を置いて支出も増える。

累進課税のバランス崩壊で実質的な増税が起きる
【関連記事】