コラム

逆転勝利で高市早苗を「初の女性宰相」へと導いたキーマンはこの人物

2025年10月04日(土)18時30分
高市早苗

初の女性総裁に当選した高市早苗(10月4日) Kim Kyung-HoonーPoolーREUTERS

<高市早苗・自民党新総裁が誕生した。下馬評では有利だった小泉進次郎農水相はなぜ敗れ、「高市逆転」の決め手は何だったのか>

自民総裁選で高市早苗・前経済安保相が勝利した。自民党にとって初の女性総裁であり、15日に招集される予定の臨時国会で首班指名されれば、日本史上初の女性宰相が誕生する。下馬評では自民党議員の支持を広く集めていた小泉進次郎農水相が有力だと言われていた。しかし3度目の正直で勝利をつかみ、日本版「ガラスの天井」を打ち破ったのは、党内きっての保守派である高市氏だった。

総裁選1回目の投票結果は、

高市早苗=計183票(国会議員票64票+党員票119票)
小泉進次郎=計164票(国会議員票80票+党員票84票)
林芳正=計134票(国会議員票72票+党員票62票)
小林鷹之=計59票(国会議員票44票+党員票15票)
茂木敏充=計49票(国会議員票34票+党員票15票)

というもので、党員票で他を圧倒した高市候補がトップに立った。対する小泉候補は、議員票が大方の予想を下回る80票にとどまり、思わぬ2位に沈んだ。いずれも過半数には達せず、続いて行われた決選投票は、

高市早苗=計185票(国会議員票149票+都道府県連票36票)
小泉進次郎=計156票(国会議員票145票+都道府県連票11票)

という結果になり、高市候補が最終的に勝利を収めた。議員票で小泉候補を上回るだけでなく、都道府県連票でも大差をつけた。圧勝と言って良い。

高市勝利をもたらした決定的な要因の一つが、麻生太郎元首相(志公会=麻生派会長)が最終盤で、「党員・党友票が最も多かった候補」を決選投票で支持する意向を周囲に伝えたことだろう。

自民党を支えてきた保守岩盤支持層が、リベラル色のイメージが強かった石破茂政権を見限って参政党などの新興政党支持に転じたことが、今夏の参議院選挙における自民党敗北につながった。そうした支持層の動向と、日本の政治風景が「右」にシフトしているという地殻変動的変化を踏まえ、離反した保守層を取り戻すためには高市総裁が今こそ必要だという判断が、「令和の元老」とも言うべき麻生元首相の決断の背景にあったのだろう。

プロフィール

北島 純

社会構想⼤学院⼤学教授
東京⼤学法学部卒業、九州大学大学院法務学府修了。駐日デンマーク大使館上席戦略担当官を経て、現在、経済社会システム総合研究所(IESS)客員研究主幹及び経営倫理実践研究センター(BERC)主任研究員を兼務。専門は政治過程論、コンプライアンス、情報戦略。最近の論考に「伝統文化の「盗用」と文化デューデリジェンス ―広告をはじめとする表現活動において「文化の盗用」非難が惹起される蓋然性を事前精査する基準定立の試み―」(社会構想研究第4巻1号、2022)等がある。
Twitter: @kitajimajun

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ロ・ウクライナ、和平協議開始 領土問題が焦点へ

ワールド

米・イラン協議、アラグチ外相「指針原則で理解」 な

ワールド

J・ジャクソン師死去、米公民権運動の指導者

ビジネス

インフレ2%に向かえば年内「数回」の利下げ可能=シ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
2026年2月24日号(2/17発売)

帰還兵の暴力、ドローンの攻撃、止まらないインフレ。国民は疲弊しプーチンの足元も揺らぐ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    オートミール中心の食事がメタボ解消の特効薬に
  • 2
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」でソフトウェア株総崩れの中、投資マネーの新潮流は?
  • 3
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トランプには追い風
  • 4
    極超音速ミサイルが通常戦力化する世界では、グリー…
  • 5
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 6
    アメリカが警告を発する「チクングニアウイルス」と…
  • 7
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したス…
  • 8
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 9
    川崎が「次世代都市モデルの世界的ベンチマーク」に─…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発される中国のスパイ、今度はギリシャで御用
  • 4
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 5
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」で…
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 8
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 9
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 10
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したス…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story