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岸田辞任ドミノの遠因──「パー券政治」というカラクリが日本政治をダメにしている
篤志型の個人献金が必要
政治資金の不適切処理を減らすためには外部的監査の充実が有効だが、政治家は外からの監視を本能的に嫌う。
そこで、適切に会計処理を行い報告書を作成する技能を持った会計担当公設秘書を増設し、政治家事務所の内部統制体制を強化する、あるいは政党本部による所属議員の会計監査を強化する策が考えられる。
他方でパー券が跋扈(ばっこ)する陳情政治を改めるには、必ずしも直接的な見返りを期待しない篤志型の個人献金を促進することも必要だ。
しかし、現状では実名住所が一般に公開される運用をためらう人は多く、あからさまな政治関与を忌避する日本の政治文化を変えるのも容易ではない。
日本には寄付文化が根付かないという指摘もあるが、プライバシー保護と追跡可能性(トレーサビリティー)の双方を担保した新しい政治献金制度導入を議論していくべきであろう。
第2次安倍政権では、閣僚不祥事が噴出しても当時の菅義偉官房長官が即座に更迭に踏み切り、その後の国政選挙で自民党が圧勝して不祥事がリセットされる状態が続いた。
しかしそのような官邸主導型の危機管理システムが既に消失しているにもかかわらず、漫然と緊張感の緩みが続いているとすれば、いずれ政権の命取りになるだろう。
岸田首相は大臣更迭に当たり「説明責任を果たしているか見極めつつ、自主的な辞職の体裁で事実上の更迭に踏み切る」スタイルを貫いている。
ただ、「一時を弥縫(びほう)して一時の小康を偸(ぬす)」む(福沢諭吉『福翁百話』)式の漸進的な危機対応がかえって政権の民主政の危機を招いていることが見えているのだろうか。
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