コラム

「菅内閣の支持率急落」を正しく読み解く

2021年05月18日(火)17時48分

「いざ開催」となれば賛成に転じる?

5月17日には、東京と大阪におけるワクチン大規模接種の予約受付が始まった。自衛隊の医師と看護師を動員し、民間看護師の協力を得ながら一日最大1万5000人程度の大量接種態勢を構築するというオペレーションだ。7月末までという設定期限に間に合うかは分からないが、高齢者向けワクチン接種完了という目標へ向けて大きく事態が進展している「絵面」が報じられることの影響は小さくない。

他方で、波乱要因として残っているのが、コロナ禍での東京五輪開催の是非だ。今回の世論調査では各社ともに「開催」を是とする者がおおむね4割、「中止」すべきとする者が5-6割という結果になっている。

安倍前政権でも、安保法案や共謀罪導入など国論を二分する法案の審議で政権運営が緊迫する局面があった。しかし菅政権がいま直面しているのは、コロナという百年に一度の災難のさなか、世界的イベントである夏季五輪・パラリンピックを開催できるかという超大型の難問だ。世論調査のデータで開催・中止に二分されているとしても、いざ開催となれば、賛成に転じる声が増える可能性はある。

巨大イベントの中止といえば、東京・臨海副都心エリアで開催される予定だった「世界都市博覧会」の中止を公約に掲げ東京都知事選で当選した青島幸男氏が1995年、公約通りに中止を決めた四半世紀前の出来事が思い出される。当時は、中止発表がデッドライン最終日までもつれたこともあって、多くの人が「まさか」と天を仰いだものだ。あの時の中止という決断がその後の東京、そして日本の経済と文化にいかなる影響を与えたかは、未だに人によって評価が異なる。果たして今回はどうなるであろうか。

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プロフィール

北島 純

社会構想⼤学院⼤学教授
東京⼤学法学部卒業、九州大学大学院法務学府修了。駐日デンマーク大使館上席戦略担当官を経て、現在、経済社会システム総合研究所(IESS)客員研究主幹及び経営倫理実践研究センター(BERC)主任研究員を兼務。専門は政治過程論、コンプライアンス、情報戦略。最近の論考に「伝統文化の「盗用」と文化デューデリジェンス ―広告をはじめとする表現活動において「文化の盗用」非難が惹起される蓋然性を事前精査する基準定立の試み―」(社会構想研究第4巻1号、2022)等がある。
Twitter: @kitajimajun

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