コラム

中国の感染爆発、死者は「1日1万1000人」と英医師会誌 「4月末までに170万人が死亡」

2023年01月04日(水)12時03分

「海外メディアが予約でいっぱいの葬儀場を訪れ、中国のネット上でシェアされている動画で、患者で超満員の病院の廊下が映し出されても、12月20~23日のコロナ死者は中国全土でゼロと当局から発表されている」(BMJ)

「中国では薬局の棚から風邪やインフルエンザの薬がほとんどなくなり、抗炎症・鎮痛・解熱剤のイブプロフェン錠も当局の命令により1人6錠までという制限付きで販売されている。ソーシャルメディアに登場する医師は一部の病院では医療スタッフの感染率が80%に達していることを打ち明けている」(同)

中国製ワクチン接種者はmRNAワクチンより3倍重症化しやすい

香港では昨年初め、コロナ変異株のオミクロン株が流行し、約9000人が死亡。これを単純に中国の人口に当てはめると死者は200万人以上に膨らむ。香港で80歳以上のワクチン接種率は43%で、中国本土の80歳以上の接種率と同レベルだ。

しかし香港では米欧製のmRNAワクチンが接種されたものの、中国本土で接種されたのは中国の国産ワクチンだけ。中国シノバック製ワクチンを接種した人はmRNAワクチンを接種した人より3倍も重症化しやすいという研究データがある。

英エジンバラ大学のマーク・ウールハウス教授(疫学)は「オミクロン株は病原性がそれ以前の株に比べ弱いと考えられているが、香港のように入院や死亡を大量に引き起こす恐れは依然としてある。ワクチンの接種率が向上しても(封じ込めから解除に転換した)オーストラリアやニュージーランドで起きたより、はるかに深刻な感染の波や死者が発生する恐れがある」とBMJに語る。

中国は最後のゼロコロナ政策として残っていた入国時の隔離義務を1月8日に終了すると発表した。感染症の分類についてコロナを最も厳格な甲類(ペストやコレラを含む)並みの管理から乙類に1段階引き下げる。変異によりコロナの病原性が弱まり、普通の呼吸器感染症になっていく見通しだからというのが中国当局の公式見解だ。

ハイブリッド免疫は少なくとも数年間、重症化を予防する

これを受けて、米国や英国、オーストラリア、フランス、インド、イスラエル、イタリア、モロッコ、スペインは中国からの渡航者にコロナ検査を義務付けた。

しかし中国で流行している変異株は他の国々でも流行しており、ワクチン接種と自然感染によるハイブリッド免疫が獲得されているため「中国に対する新たな渡航制限を支持する疫学者はほとんどいない」(BMJ)という。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:戦闘で労働力不足悪化のロシア、インドに照

ワールド

アングル:フロリダよりパリのディズニーへ、カナダ人

ビジネス

NY外為市場=ドル横ばい、米CPI受け 円は週間で

ビジネス

米国株式市場=3指数が週間で下落、AI巡る懸念継続
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発される中国のスパイ、今度はギリシャで御用
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」でソフトウェア株総崩れの中、投資マネーの新潮流は?
  • 4
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 5
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 6
    【インタビュー】「4回転の神」イリヤ・マリニンが語…
  • 7
    川崎が「次世代都市モデルの世界的ベンチマーク」に─…
  • 8
    機内の通路を這い回る男性客...閉ざされた空間での「…
  • 9
    中国の砂漠で発見された謎の物体、その正体は「ミサ…
  • 10
    「ドルも弱い」なのになぜ、円安が進む? 「ドル以外…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 5
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 6
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 7
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 8
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 9
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 10
    50歳には「まったく見えない」...信じられないレベル…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story