コラム

日本はもう「タケヤリ」とド根性を貫くしかない──コロナ対策を妨げる政治の阻害要因とは

2021年05月13日(木)15時49分
宝島社が全国紙に出した企業広告

宝島社が全国紙に出した企業広告 Newsweek Japan

<「このままじゃ、政治に殺される」という声が出るほどの停滞の原因は何なのか>

[ロンドン発]出版社の宝島社(東京都)が1941年に薙刀の訓練をする女の子の写真をあしらい「ワクチンもない。クスリもない。タケヤリで戦えというのか。このままじゃ、政治に殺される。」と日本の新型コロナウイルス対策を批判する見開き2ページの企業広告を朝日、読売、日経の朝刊3紙(全国版)に掲載したことが大きな話題を呼んでいる。

「私たちは騙されている。この一年は、いったい何だったのか。いつまで自粛をすればいいのか。我慢大会は、もう終わりにして欲しい。ごちゃごちゃ言い訳するな。無理を強いるだけで、なにひとつ変わらないではないか。今こそ、怒りの声をあげるべきだ」と激烈なコピーがたたきつけられている。

これまでも刺激的な企業広告を掲載してきた宝島社は今回の広告意図について「新型コロナウイルスの蔓延から、すでに一年以上。しかし、いまだに出口は見えません。マスク、手洗い、三密を避けるなど、市民の努力にも限界があります。自粛が続き、経済は大きな打撃を受け続けています。厳しい孤独と直面する人も増える一方です」と説明している。

「そして、医療の現場は、危険と隣り合わせの状態が続いています。真面目に対応している一人ひとりが、先の見えない不安で押しつぶされそうになり、疲弊するばかりです。今の日本の状況は、太平洋戦争末期、幼い女子まで竹槍訓練を強いられた、非科学的な戦術に重なり合うと感じる人も多いのではないでしょうか」

「コロナウイルスに対抗するには、科学の力(ワクチンや治療薬)が必要です。そんな怒りの声をあげるべき時が、来ているのではないでしょうか」と締めくくる。

それでも日本はコロナ対策の優等生

15万人を超えるコロナ死者を出したイギリス(人口6665万人)で暮らす筆者の目からは感染防止(イギリスでは2メートルだが、日本ではお互いに手を伸ばして届かない)距離、マスク着用、3密回避、換気という「タケヤリ」と医療現場の踏ん張りで死者を1万937人に抑えている日本は先進国の中では紛れもない優等生だ。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

国家石油備蓄の放出、政府が鹿児島志布志市の基地に準

ワールド

イラン大統領、自身の発言を「敵が誤解」=国営テレビ

ワールド

王外相、米中対話の重要性強調 イラン情勢巡り軍事行

ワールド

トランプ氏、女子学校攻撃は「イランの仕業」 証拠は
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗雲...専門家「イランの反撃はこれから」「報道と実態にズレ」
  • 2
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力空母保有国へ
  • 3
    日本の保護者は自分と同じ「大卒」の教員に敬意を示さない
  • 4
    ダイヤモンドのような「ふくらはぎ」を鍛える最短ル…
  • 5
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 6
    大江千里が語るコロナ後のニューヨーク、生と死がリ…
  • 7
    【WBC】侍ジャパン、大谷翔平人気が引き起こした球場…
  • 8
    女性の顔にできた「ニキビ」が実は......医師が「皮…
  • 9
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 10
    「溶けた金属のよう...」 ヨセミテ国立公園で「激レ…
  • 1
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 2
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズった理由
  • 3
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 4
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 5
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 6
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 7
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 8
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 9
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 10
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story