コラム

なぜ韓国の若者は仮想通貨に熱狂するのか?

2021年05月28日(金)15時30分

実際、仮想通貨に対する20代と30代を中心とする若者の関心は他の世代より高い。不動産や株式より投資しやすく、デバック(デバックは韓国語で、大儲けという意味)が期待できるからだ。4月21日に野党「国民の党」の権垠希議員が公開した韓国の大手仮想通貨取引所4カ所(ビットサム、アップビット、コインワン、コービット)の投資家内訳を見ると、今年の第1四半期の上記した取引所4カ所の新規加入者は249万5,289人で、このうち20代と30代の割合はそれぞれ32.7%と30.8%で、全体の6割を超えていることが明らかになった。

また、就業情報サイト「アルバ天国」が大学生1750人を対象に実施したアンケート調査(5月24日に公開)でも、回答者の半分以上(52.9%)が仮想通貨を肯定的に考えており、回答者の約4分の1(23.6%)は現在仮想通貨に投資していると答えた。

同調査によると、若者が仮想通貨への投資を始めた最大の理由は「比較的に小額で投資が可能な点」(25.2%)であり、次いで「多様な投資を経験するため」(16.3%)、「既存の財テク手段より収益率が高い」)(15.1%)などの順であった。

投資資金を一転、保護することに

大学生の平均投資金額は141万ウォン(約13.7万円)で、上述した会社員の566万ウォン(約55万円)を大きく下回った。投資金額は、アルバイトからの収入(66.4%)、親からのお小遣(15.7%)、預貯金を解約した資金(11.1%)などから調達されていた。

最近では1日の取引高が20兆ウォン(約1.95兆円)を超えるなど、若者を中心に仮想通貨が再び過熱気味な傾向にあり、韓国政府は再び規制強化に動き出している。殷成洙(ウン・ソンス)金融委員長は4月22日、「仮想通貨については税金を賦課する計画である。但し、金融資産としては認めることはできないので政府の保護の対象にはならない。(中略)特定金融情報法が3月に施行されたことにより、今年の9月まで政府に登録した仮想通貨取引所のみ運営が許可されるが、4月22日時点で登録した仮想通貨取引所は1カ所もない。登録をしないと200ぐらいある仮想通貨取引所はすべて閉鎖される可能性がある」と話した。

殷委員長の発言を受けて、4月23日に韓国の仮想通貨取引所で取引された「ビットコイン」等の仮想通貨は大きく下落した。また、殷委員長の発言に対して、仮想通貨の投資家の間では投資家を保護するなどの措置は何もなく、税金だけ賦課しようとしているという不満の声が出てきた。さらに、殷委員長の自主的な辞任を促す青瓦台国民請願が始まり、5月23日には20万人を超える同意を受けた。

プロフィール

金 明中

1970年韓国仁川生まれ。慶應義塾大学大学院経済学研究科前期・後期博士課程修了(博士、商学)。独立行政法人労働政策研究・研修機構アシスタント・フェロー、日本経済研究センター研究員を経て、2008年からニッセイ基礎研究所。日本女子大学現代女性キャリア研究所特任研究員、亜細亜大学特任准教授を兼任。専門分野は労働経済学、社会保障論、日・韓社会政策比較分析。近著に『韓国における社会政策のあり方』(旬報社)がある

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