コラム

韓国政府が手厚い子育て支援策を決めたが、出生率向上は今度も難しい?

2021年01月12日(火)13時40分

韓国でも少子化は深刻な問題だ Kim Hong-Ji-REUTERS

<1991年から子育て世代の支援制度を拡充してきた韓国でも出生率の低下には歯止めがかからない。未婚化、晩婚化を止める施策が必要だ>

韓国政府は12月15日、2021年から2025年までの人口政策の基盤になる「第4次少子・高齢社会基本計画」を国務会議で確定した。韓国政府は子育てに必要な費用を支援し、出生率を引き上げるために2022年から0~1歳の乳児を育てるすべての親に対して月30万ウォンの「乳児手当」を支給することを決めた。また、手当の金額を2025年までに50万ウォンに引き上げる方針である。

さらに、2022年からは出産時に200万ウォンを一時金として支給する制度を新設するほか、男性の育児参加を奨励するために、満1歳未満の子供を持つ両親が3カ月ずつ育児休業を取得した場合、双方に月最大300万ウォンの休業給付金を支払う計画である。

実際、最近、韓国では育児休業を取得する男性が増加している傾向にある。2002年に104人で全育児休業取得者の1.5%に過ぎなかった男性の割合は、2019年には22,297人で21.2%まで上昇した。

男性の育児休業取得者が増えた理由としては、女性の労働市場参加の増加や育児に対する男性の意識変化等の要因もあるものの、最も影響を与えたのは韓国政府が2014年10月に男性の育児休業取得を奨励するために導入した「パパ育児休業ボーナス制度」の効果ではないかと考えられる。

「パパ育児休業ボーナス制度」とは、同じ子どもを対象に2 番目に育児休業を取得する親(90%は男性)に、最初3カ月間は育児休業給付金を通常賃金 の100%を支給する制度である 。また「パパ育児休業ボーナス制度」の支給上限額は育児休業給付金の上限額より高い1カ月250 万ウォンに設定されている。このように、育児休業を取得しても高い給与が支払われるので、中小企業で働いている子育て男性労働者を中心に「パパ育児休業ボーナス制度」を利用して育児休業を取得した人が増加したと考えられる。

■男女別育児休業取得者と男性が占める割合
kimchart1.png
出所)雇用労働部(雇用保険DB資料)から筆者作成

プロフィール

金 明中

1970年韓国仁川生まれ。慶應義塾大学大学院経済学研究科前期・後期博士課程修了(博士、商学)。独立行政法人労働政策研究・研修機構アシスタント・フェロー、日本経済研究センター研究員を経て、2008年からニッセイ基礎研究所。日本女子大学現代女性キャリア研究所特任研究員、亜細亜大学特任准教授を兼任。専門分野は労働経済学、社会保障論、日・韓社会政策比較分析。近著に『韓国における社会政策のあり方』(旬報社)がある

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

カナダ首相、3月初旬にインド訪問か 貿易多様化を推

ワールド

EU、ロシア産ガス輸入停止を承認 ハンガリーは提訴

ビジネス

ホンダ、中国の四輪工場19日の週から再開 半導体不

ワールド

南アランド、22年以来の高値 一時1ドル=16ラン
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:「外国人問題」徹底研究
特集:「外国人問題」徹底研究
2026年1月27日号(1/20発売)

日本の「外国人問題」は事実か錯誤か? 7つの争点を国際比較で大激論

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 2
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰に地政学リスク、その圧倒的な強みとは?
  • 3
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 4
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 5
    「外国人価格」で日本社会が失うもの──インバウンド…
  • 6
    「楽園のようだった」移住生活が一転...購入価格より…
  • 7
    「20代は5.6万円のオートロック、今は木造3.95万円」…
  • 8
    私たちの体は「食べたもの」でできている...誰もが必…
  • 9
    麻薬中毒が「アメリカ文化」...グリーンランド人が投…
  • 10
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 1
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 4
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味…
  • 5
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 6
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 7
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 8
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 9
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の…
  • 10
    麻薬中毒が「アメリカ文化」...グリーンランド人が投…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 5
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 6
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 7
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story