コラム

韓国のアンケート調査からみた世代間の意識の違い

2020年10月09日(金)16時30分

非正規職の正規職化と関連して「同一労働に対しては一定の資格条件を満たした場合、正規職化することが望ましい」(-3点~0点)と「同一労働をしていても厳しい手続きを経ずに正規職になることは公正ではない」(0点~3点)に対する選好度を聞いたところ、中高年世代の平均点は-0.01点で中立的な立場であったことに比べて、若者世代は0.27点で処遇の平等より公正な手続きの重要性を重視していることが明らかになった。昨年、法務部長官に任命された曹国氏の娘の不正入学疑惑に若者の多くが怒りを感じたのはこの調査結果を如実に反映していると言えるだろう。

結婚、出産、住居、社会移動に関する意見を5段階(2)で聞いた項目でも、若者世代と中高年世代の意見の差が見られた。まず、「自分がおかれている社会的環境は自分が希望する時に結婚することを難しくする(難しくした)」、「自分がおかれている社会的環境は自分が希望する時に出産することを難しくする(難しくした)」に対する平均点数は若者世代が3.68と3.85で、中高年世代の2.79と2.74より高く、中高年世代に比べて社会的環境が本人の結婚や出産に負の影響を与えているという意識を持っていることが分かった。また、「自分の能力と努力で希望する家で暮らせる(暮らせた)」(1~5点、暮らせると思うほど高い点数)に対する若者世代の平均点は2.73で、中高年世代の3.14より低く、中高年世代に比べて希望する家で暮せる可能性に悲観的な見方をしていた。

(2) 1~5点尺度、1は「まったく同意しない」、2は「あまり同意しない」、3は「どちらとも言えない」、4は「やや同意する」、5は「強く同意する」


敗者復活しにくく親にも頼れない

社会移動や敗者復活の可能性(1~7点、可能性が高いほど高い点数)についての平均点数も若者はそれぞれ3.44と3.42で、中高年世代の4.35や4.36より低くネガティブな反応が多かった。

世代内の意識の差も現れた。「大変なことがある時、誰に助けを求めるのか」という質問に対して、「親」と答えた割合は、本人が経済的に上流階層だと思う若者が60.6%で、本人が経済的に下流階層だと思う若者の46.1%を大きく上回った。
 
以上の調査結果から若者世代は国よりは個人の責任を、分配よりは成長を、処遇の平等より公正な手続きの重要性を重視していること等が明らかになった。彼らは公正な社会の中で安心して働くことを最も望んでいると考えられる。しかしながら、最近、韓国国内で起きっている指導層の公正の欠如は若者世代を大きく失望させたに違いない。文在寅政権は残された1年8カ月に社会の公正をどう実現・改善するかについて慎重に考える必要があるだろう。

※本稿の詳細は、現代韓国朝鮮学会の『現代韓国朝鮮研究』第20号に近日公開される予定である

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プロフィール

金 明中

1970年韓国仁川生まれ。慶應義塾大学大学院経済学研究科前期・後期博士課程修了(博士、商学)。独立行政法人労働政策研究・研修機構アシスタント・フェロー、日本経済研究センター研究員を経て、2008年からニッセイ基礎研究所。日本女子大学現代女性キャリア研究所客員研究員、日本女子大学人間社会学部・大学院人間社会研究科非常勤講師を兼任。専門分野は労働経済学、社会保障論、日・韓社会政策比較分析。近著に『韓国における社会政策のあり方』(旬報社)がある

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