「体が資本」を企業文化に──100年企業・尾崎建設が挑むウェルビーイング経営
高知県高知市を拠点とする尾崎建設・尾﨑徹哉社長(左)と、ジムトレーナーでフィットネス企業FIT ENISIAの経営者でもある山岸将也。二人にウェルビーイング経営のあり方について話を聞いた。山岸は尾﨑のパーソナルトレーナーを担当する間柄だ。取材は東京・六本木にある山岸の「BOND’S GYM」で実施した。
<「建設業=きつい」というイメージを変えたい――。高知市に本社を置く尾崎建設の4代目社長・尾﨑徹哉氏は、社員一人ひとりが健康で安心して働ける環境づくりに挑んでいる>
「建設業はかつて “稼げる仕事” と言われていましたが、今では “きつい仕事” という印象が強くなり、人材が集まりにくくなっています。こうした背景や高齢化の影響もあり、人手不足が進むと同時に、働き手の年齢層も上がっています。60歳を過ぎても現場で働く社員が少なくありません」
そう語るのは、高知県高知市を拠点に、土木工事や社会インフラ整備を通じて地域とともに歩んできた建設会社・尾崎建設の尾﨑徹哉社長だ。同社は1924年創業の “100年企業” でもある。しかし、近年は新規採用の難しさに加え、 “中堅層” の不足という課題にも直面しているという。
「いわゆる “失われた30年” の影響が大きいんです。公共事業が減った時代に多くの若手が業界を離れ、その結果30代〜40代の層が薄くなってしまった。国策の影響を強く受ける業界だからこそ、今また人を育て直す必要があると思いました」
こうした課題を受け、尾﨑は会社の在り方を原点から見直し、 “ウェルビーイング経営” を経営の柱の一つに据える決断をした。「100年企業として “次の100年” を迎えるためには、社員一人ひとりが健康で安心して働き続けられる環境が不可欠だと考えました」
もともと尾﨑自身、ウェルビーイング経営への関心は自身の体験から生まれたという。
「今でこそ “健康経営” が注目されていますが、まず自分自身が健康でなければ、人には語れないと思ったんです。会食が多く、気づけば体重も増えていた。ある時、人に指摘されて初めて “これはまずい” と気づいたのがきっかけでした」

そんな尾﨑の背中を押す出会いもあった。複数の企業トップを指導してきた経験のあるフィットネストレーナー・山岸将也から、パーソナルトレーニングの指導を受ける機会を得たのだ。山岸は当時をこう振り返る。
「尾﨑社長は “自分を変える” ための明確な目標があり、それに向けた強い意思もお持ちでした。また、自身が変わることによって、社員の未来健康も見据えているともおっしゃっていました。『体が資本の健康づくり』に対しての視野の広さを感じましたし、体のトレーニングだけでなく、社員のメンタルケアにも意識を向けておられるのも印象的でした」
一方、尾﨑も山岸の指導力と “人間力” に強く惹かれたという。
「山岸さんはプロ意識が非常に高く、そして負けず嫌いです。人をよく見ていて、性格や気質に合わせた指導をしてくれます。時に厳しく、時に優しく、その緩急が心に響きました。単なる運動指導にとどまらず、人としてどう成長していくかを一緒に考えてくださる存在だと感じました」
山岸が提唱するのは、「体の貯金」と「お金の貯金」という二重の概念だ。「お金を貯めるように、体にも貯金が必要なんです。日々の運動や食生活の積み重ねが、将来の健康資産になります。尾﨑社長のようにトップがコミットして背中を見せることが、何よりのメッセージになります」
尾﨑自身も「まず自分が実践する」ことにこだわっている。出張の多い日々の中でも朝のウォーキングを欠かさず、どの街にいても5km〜10kmを必ず歩くという。
「たとえば赤坂のホテルに泊まった時は、赤坂御用地の周りを一周するのが日課です。どんな場所でも歩くことを続けた結果、今では歩かないと落ち着かないくらいになりました」と笑う。
「経営って、結局は継続だと思うんです。ぶれずに続けること。途中でやめたら意味がない。運動も同じで、毎日コツコツ積み上げることが結果につながりますよね」
企業全体の力を底上げする、スマートウェルビーイング。
自社のウェルビーイング経営を推進していく上で、必要不可欠な人材だと直感した尾﨑は、山岸をスカウト。ウェルビーイング経営の “伴走者” として、オンライン指導をベースに定期的に高知にも訪れ指導にあたっている。ベースになるのは、それぞれの社員に合わせた健康増進プログラム「スマートウェルビーイング」だ。
「健康は “全員で同じことをやる” よりも、 “自分に合ったことを選べる” 方が続きやすく、効果も出やすいんです。『スマートウェルビーイング』では、運動・栄養・メンタルを組み合わせて設計しています。忙しい人には短時間で効果の出る運動やストレッチを、ストレスが溜まりやすい部署にはリズム運動や呼吸法を提案するなど、状況に合わせてカスタマイズして、効果につながりやすくなるよう提案していきます」
尾﨑が続ける。「成功のコツは、 “自分に合うもの” を選べる環境づくり、小さな達成感を積み重ねられる仕組みづくり、個人の健康改善をチーム全体の活力や成果につなげる視点、この3つです。『スマートウェルビーイング』は、社員が “無理なく続けられる健康習慣” を持つことで、企業全体の力を底上げする仕組みなんです」

さらにウェルビーイング経営の取り組みは、企業の枠を超えた “人と人とのつながり” を生み出している。尾﨑が始めた「朝勝(あさかつ)」という活動は、 “朝に勝つ” という意味を込めたもので、単なる運動習慣にとどまらない。地元企業の経営者や社員が自然と集まり、笑顔で交流を深めている。
「朝って、一番自分に負けやすい時間なんです。寝起きの誘惑に勝てた日は、それだけで一日のスタートをポジティブに切れる。朝勝は小さな成功体験の積み重ねなんですよ」
この活動はSNSでも「#朝勝」として広がりを見せ、地域を巻き込む新しいウェルビーイング文化となりつつある。
尾﨑が力を込める。「私は『社員と共に成長する』『地域と歩む』ことを会社経営の根幹に据えています。そのために欠かせないのは、社員一人ひとりの健康と安心です。身体的な健康はもちろん、心の安定や人とのつながりがあってこそ、社員が力を発揮でき、組織も前に進める。つまり企業にとっての健康とは、社員の健康と組織全体の健全性が掛け算で機能している状態なんです。その掛け算が大きくなるほど、会社は持続的に成長し、次の100年につながる力になると信じています」
派手さはなくとも、「実直に」「コツコツ」と積み上げていく姿勢は、まさに尾崎建設の社風そのものだ。「『体は資本』、これを元に社員さんの健康管理を考え、健やかな生活の確保をすることが人材の長期雇用となり、次の100年をつなぐポイントになると考えます」と山岸も語る。
ウェルビーイング経営とは、単なる健康施策ではなく、 “人が笑顔で働き続けるための企業文化” をつくる営み。尾崎建設が目指すのは、それを土台に、地域とともに歩む “200年企業” だ。
●問い合わせ先/尾崎建設株式会社
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