コラム

日本一高い「トーチタワー」だけじゃない...都心の「超高層ビル乱立」で、私たちの給料が下がるワケ

2023年10月25日(水)11時10分

ビル「過剰建設」のしわ寄せは人々の賃金に

では、こうした玉突きが起こった結果、経済全体にはどのような影響が及ぶだろうか。需要に対して過剰にインフラを整備した場合、経済圏全体での減価償却額が過大になると予想される。

マクロ経済的には、企業利益が一定だった場合、減価償却が増えた分は雇用者報酬、つまり労働者の賃金にしわ寄せが行く。オフィスビルの過剰な建設は、多くの日本人の賃金を犠牲にしながら、見かけ上の好景気だけをもたらすと考えることも可能だ。

経済が活発になり、多くの人やモノが集まってくれば必然的にオフィスビルへの需要は高まる。ハコモノを造ってそうした需要を喚起するというのは、途上国でもない限り意味のあることとは言えない。

最大の問題は、今の日本ではこうした奪い合い型のビジネスしか活性化していないことである。加えて言うと、ビル建設にここまで資金が集まるのは、日銀の大規模緩和策によるカネ余りの影響が大きい。政府が行うべきなのは、目先のビル建設を促進する政策ではなく、長期的な成長を促す設備投資や技術開発にマネーが回るよう、産業界を誘導することである。

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プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネスなどの分野で執筆活動を行うほか、テレビやラジオで解説者やコメンテーターを務める。『お金持ちの教科書』(CCCメディアハウス)、『スタグフレーション』(祥伝社新書)、『本気で考えよう! 自分、家族、そして日本の将来』 (幻冬舎新書)など著書多数。

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