コラム

日本の貿易赤字は過去最大...だが、この状況を経済成長につなげる道はある

2023年03月16日(木)18時19分

貿易赤字の額が大きくなると、対外的な投資から得られる投資収益(所得収支)を食いつぶすことになり、最悪の場合、経常収支の赤字転落が視野に入る。そうならないためには、可能な限り輸入を減らす、あるいは輸出を増やす努力が必要だが、日本企業の競争力は低下しており、劇的な改善は見込めないだろう。

このような時代において重要なのは、輸入した製品やサービスを使って、いかに国内の成長を高められるかという視点である。残念ながらスマホを輸入しただけでは、直接、日本経済の成長には結び付かない。だが、業務用ソフトウエアなどIT関連の製品やサービスと連携する形で、企業経営に積極活用すれば、生産性の向上と賃金上昇につなげることができる。

IT関連製品についても、全て自国で生産したほうが国内にお金は落ちるかもしれないが、海外に優秀な製品があり、それを輸入したほうが効果が高いのであれば、輸入が必ずしもマイナスになるとは限らない。これからの日本の産業政策は、輸出については付加価値がより高い製品に、輸入については生産性向上につながる製品に特化する方向性を目指すべきだろう。これによって、貿易赤字が拡大しつつも成長を維持できる道筋が見えてくる。

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プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネスなどの分野で執筆活動を行うほか、テレビやラジオで解説者やコメンテーターを務める。『お金持ちの教科書』(CCCメディアハウス)、『スタグフレーション』(祥伝社新書)、『本気で考えよう! 自分、家族、そして日本の将来』 (幻冬舎新書)など著書多数。

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