コラム

経済成長は今後さらに難しくなる...その仕組みを紐解くカギ「自然資本」とは

2021年12月22日(水)18時38分

自然環境を生産関係(唯物論的な下部構造)の一部と見なすマルクス経済学の分野では、経済活動と自然資本の関係について相応の分析が行われていた。しかしながらマルクス経済学では、自然資本を含む下部構造の独占管理が大前提となっており、現代の資本主義社会には適用しにくい。

一方で今回の報告書では標準的な成長理論をベースに自然資本の概念が導入されているため、現実の資本主義社会への応用が期待される。経済圏全体の支出のうち、一定割合を自然資本の維持に費やし、資本の毀損(従来型資本の減耗に相当)を補うことができれば、その経済圏は持続可能となる。具体的には、生物多様性維持のプロジェクトや再生可能エネルギーへの投資、垂直農法や代替肉など食糧生産性を拡大できる新技術の育成などが該当する。

自然資本という有限な生産要素が入れば、成長の難易度は上がる。一方で、貧困問題などを解決するには成長を継続することが重要である。解決のカギを握るのがテクノロジーであることは明らかであり、社会全体としてイノベーションを活性化していく努力が必要だろう。

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プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネスなどの分野で執筆活動を行うほか、テレビやラジオで解説者やコメンテーターを務める。『お金持ちの教科書』(CCCメディアハウス)、『スタグフレーション』(祥伝社新書)、『本気で考えよう! 自分、家族、そして日本の将来』 (幻冬舎新書)など著書多数。

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