コラム

セブンの米コンビニ「2兆円」買収という大勝負に、勝算はあるのか

2020年08月19日(水)09時25分

セブンは2018年に約1000店を擁する米コンビニチェーン「スノコ」を買収しているが、買収に投じた費用は約3400億円であり、今回の買収金額は相対的に見るとかなり大きい。市場関係者からは金額に加え、日米のコンビニ市場の違いについて懸念する声も上がる。

アメリカのコンビニは総菜類が少ないなど、商品構成が日本とは大きく異なっており、国内のノウハウがあまり生かせない。加えてアメリカではガソリンスタンド併設店舗が多く、電気自動車(EV)時代には不利になるとの見方もある。だが、セブンの経営陣はこれらのリスクについては重々承知の上だろう。

今回の買収は高い成長を続けるための戦略的な決断であり、相応のリスクがある分、期待リターンも高い。セブンはコンビニ大手3社の中で、唯一、商社との明確な資本関係を持たない企業であり、経営の自由度が高いという特徴がある。

逆に言えば、競合のファミリーマートとローソンは商社の国内事業部門と一体であり、全面的に海外に軸足を移すという選択肢を取りづらい。セブンは現時点でも圧倒的なトップ企業だが、今回の買収に成功すれば、他の2社がセブンに追い付くことはほぼ不可能となるはずだ。

<本誌2020年8月25日号掲載>

・ブラックバイトの被害が多いのは、コンビニ、居酒屋、学習塾
・韓国コンビニも営業時間短縮、しかし日本とはかなり事情が異なる

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2020年8月25日号(8月18日発売)は「コロナストレス 長期化への処方箋」特集。仕事・育児・学習・睡眠......。コロナ禍の長期化で拡大するメンタルヘルス危機。世界と日本の処方箋は? 日本独自のコロナ鬱も取り上げる。

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネスなどの分野で執筆活動を行うほか、テレビやラジオで解説者やコメンテーターを務める。『お金持ちの教科書』(CCCメディアハウス)、『スタグフレーション』(祥伝社新書)、『本気で考えよう! 自分、家族、そして日本の将来』 (幻冬舎新書)など著書多数。

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