デフレ化する中国...高級ホテルは外資もこぞって新戦略「屋台販売」で稼ぐ

中国・北京にある高級ホテル、北苑大酒店のスタッフは毎晩、屋台を設置して出来たての料理を販売している。11日撮影(2025年 ロイター/Maxim Shemetov)
中国・北京にある高級ホテル、北苑大酒店のスタッフは毎晩、屋台を設置して出来たての料理を販売している。消費者や企業が旅行や会議、宴会の出費を減らす中で、落ち込んだ収入を穴埋めしなければならないからだ。
セールスディレクターのアンウェン・シュー氏は「今はもう、単に値下げすればお客さんが来る状況ではない。そもそも全く来てくれない」と語り、新たな収入源を見つけ出す必要性を強調した。
ソーシャルメディアやニュースサイトの情報に基づくと、北苑大酒店以外に中国全土で少なくとも14の高級ホテルがここ数週間で料理を屋台販売している。いずれも消費需要の低迷や企業の出張予算削減、宴会予約の低迷などのあおりを受けている。
シュー氏は、中国指導部が今年、公務員や共産党員の倹約や規律徹底を改めて打ち出し、大人数での外食の禁止やアルコール消費の制限などが課されたことも業界の打撃になったと説明した。
複数のアナリストは、こうしたホテルの姿勢は中国にデフレ圧力のリスクが定着する新たな兆候と受け止めている。
オーストラリア・メルボルンのモナシュ大学のハー・リン・シー教授(経済学)は「高級飲食業界、とりわけ五つ星ホテルは生き残り戦略の修正を図らなければならない。現在の事態は中国経済全体がかなり大きなデフレリスクに直面していることの表れだ」と指摘した。
3元(約62円)の朝食が提供され、スーパーマーケットでタイムセールが行われているのもデフレの兆しとみられる。