コラム

時代遅れの日本の「カイシャ」は、新型コロナで生まれ変われるか

2020年05月27日(水)17時44分

欧米とほぼ同一の労働法制が存在し、労働者が自ら権利行使できる環境が整っているのに、ブラック企業による奴隷労働がなくならない現実は、こうした社会学的な要因がなければ説明がつかない。

だが全世界的にビジネスのIT化が進み、消費者の価値観が多様化している現代社会では、ゲマインシャフト的な組織は機能不全を起こしつつある。こうしたなかで発生したのがコロナショックである。

社員の感染防止のためテレワークに移行する企業が増えたが、遠隔でも業務をスムーズに進めるには、情緒に依存したゲマインシャフト的なマネジメントから、ルールと文書を基本としたゲゼルシャフト的なマネジメントに移行せざるを得ない。仕事をしている様子が見えない状況では「頑張り」を評価基準にしたところで限界は見えている。

近年、日本の企業組織が時代に合わなくなり、これが労働生産性を著しく引き下げているとの指摘が相次いだが、日本企業はなかなか変われなかった。だがコロナショックの影響は大きく、かたくなだった日本人の行動様式にも変化の兆しが見え始めた。逆に言えば、今回の危機をきっかけにゲゼルシャフト的な組織への転換が実現できなかった場合、二度とチャンスはやって来ないかもしれない。

<本誌2020年6月2日号掲載>

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2020年6月2日号(5月25日発売)は「コロナ不況に勝つ 最新ミクロ経済学」特集。行動経済学、オークション、ゲーム理論、ダイナミック・プライシング......生活と資産を守る経済学。不況、品不足、雇用不安はこう乗り切れ。

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネスなどの分野で執筆活動を行うほか、テレビやラジオで解説者やコメンテーターを務める。『お金持ちの教科書』(CCCメディアハウス)、『スタグフレーション』(祥伝社新書)、『本気で考えよう! 自分、家族、そして日本の将来』 (幻冬舎新書)など著書多数。

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