コラム

知らない間に物価は着々と上がっている

2019年01月08日(火)14時00分

失業率が急速に上昇するしきい値となっているのは2.5%前後である。つまり日本では過去の経験則上、失業率が2.5%を切ると急激にインフレになる可能性が高いということになる。

総務省が2018年12月28日に発表した11月の完全失業率(季節調値)は2.5%となっており、ちょうどインフレのしきい値となっている。今後、失業率がこの水準で定着するか、さらに低下するようであれば、そろそろインフレに対する警戒が必要ではないかと筆者は考える。

日本の人手不足は構造的な要因であり、すぐに解消する可能性は低い。三大都市圏における10月時点のアルバイト、パートの平均時給は1047円と過去最高を更新している(リクルートジョブズ調べ)。実際には時給1000円で人を確保するのは現実的に難しく、企業は人件費の高騰に悩まされている。これが製品やサービス価格に転嫁されるようであれば、物価上昇に弾みがつく可能性は十分にあるだろう。

もっともインフレといっても、景気拡大に伴う物価上昇ではないので、消費者にはあまりメリットがない。2019年には消費増税があるほか、米国景気にも減速懸念が出ている。経済が伸び悩む中での物価上昇なので、一種のスタグフレーションのような状況を想像した方がよいかもしれない。

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

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